出来ちゃった！？ 【不死川実弥】

寝不足すぎて ページ34

＊

退院の日は大変だった。
案の定…誰が拓弥を抱っこするかで
揉める。

「俺が抱っこする」

「やだ、お父さん！！
首すわってないから！ああ、もう！
気をつけて！」

「お前がうるさいから！
上手く抱けないだろ？」


里帰りしたら……これが続くのか……
うちの両親よ…。頼むから
お利口さんにしててくれよ……。

先が思いやられるな。




それにしても……

子育てって……
思った以上にハードだ。
里帰りしていた時は良かった。

上げ膳据え膳だったし

拓弥が泣けば私より先に抱き上げる
おばあちゃん。

「たくちゃん？どうちまちたかぁ？」
サッと抱き上げあやすお母さん。
オムツを換えてくれるし、お風呂も
入れてくれた。



でも……

マンションに帰ってからは、
そうはいかない。
2時間おきの授乳に、オムツ交換。
まともに寝られない。



授乳を済ませ、抱っこしていると
やっと寝てくれた拓弥。
よし……布団に寝かせよう……
そっと寝かせた瞬間…

「ぎゃああん！！」

「ああ……ごめんね、抱っこするから」

抱き上げて暫くすると、私の腕の中で
スヤスヤと寝る拓弥。

これの繰り返しだ。


実弥が帰ってきてからもこの調子で
実弥のお世話も出来ない。

「ごめん……」

「仕方ないさ。俺のことは気にすんなァ…
初めての事ばかりだろ？無理すんなァ？



「うん……」


今思うと……その頃から変だったのかもしれない
実弥は、私を思いやって優しくしてくれていたのに。


ある日……


「ぎゃああん！」
まただ……どうして泣きやんでくれないの？

抱き上げてあやす


ふとリビングにある鏡に映った
自分を見て息をのむ。

「うそ……」

泣き止まない拓弥。
艶の無くなったボサボサの髪。
カサカサの肌。
目の下のクマ。

何これ……私じゃない。
こんなのを望んだんじゃない。

これ……いつまで続くの？
不安に押し潰されそうになる。




拓弥が泣いてるのに……抱き上げる気力が
なくなってきた。ボーッと見つめていると
実弥が帰ってきた。



「A？ただいま……どうしたんだ？
拓弥が泣いてるだろォ？」



実弥はすぐに抱き上げ、あやし始める。



「だって……泣き止まないんだもん……」
ボロボロと泣き出す私の異変に気づいた

実弥は頭をなでながら私に言う


「お前は…よくやってるぜェ……」


だが私は横に首を振る。

「私は……母親失格だ……」

声をあげて泣いた。

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