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「じゃあ、新曲はこの方向で。お疲れ様でした」
「うん、おつかれ」
金曜の夜。予定していたまふまふとの新曲の打ち合わせを終え、そのままTwitterを開く。検索履歴に表示されたアカウントのアイコンをタップして、タイムラインを覗いた。
それは−−−梓のアカウント。よく歌い手のイラストをあげていると、以前教えてくれた。
梓≪@***:金曜の仕事終わり。明日は東京でお友達と遊んでくるよ〜。落書きで申し訳ないんですけど、今日描いたusssの皆さんです[画像]≫20:31
変わっていない梓の絵柄。出会った時から趣味は絵を描くことだと笑っていた。
梓は万人に受け入れられる人だった。
無愛想な俺とは釣り合わない時すらある。
……胸が痛くなる。
梓が明日遊ぶ相手は天月だ。天月も彼女の幼なじみだから。けれど最近二人が遊ぶ頻度が高い気がする。……ということは、もしかしたら。
何だか怖くなって、天月に電話をかける。
数回の呼び出し音の後に天月の声がした。
「はいーもしもし?」
「あ、天月?ちょっと聞きたいことがあって。」
「何です?」
「その……梓と天月は付き合ってんの?明日二人が遊ぶってまふまふから聞いたんだけど。」
天月からの返答が途絶え、沈黙が流れる。
自分で聞いておいておきながら、耳を塞ぎたい気分だった。
息を吸う音が、電話の向こうに聞こえた。
「付き合ってませんよ、もちろん。ていうか明日はまふくんも来るので、二人きりじゃありません!」
「え、そうなの」
「当たり前じゃないですか。というか歌い手に専念するって言ったそらるさんと別れた梓ちゃんが、また歌い手と付き合うわけないじゃないですか」
「そ、そうだけど…」
「そらるさん、いきなりどうしたんですか?」
天月からの質問に、今度は自分が言葉を詰まらせる番だった。
それでも、必死に言葉を考えて返事をする。
まふまふに、カウコンの時の楽屋に梓を招待することを告げられたと教え、それからずっと梓のことが頭を離れないことを言った。
「そらるさん、まだ梓ちゃんのこと……」
「……」
「うーん…梓ちゃんには好きな人いますよ?でも大丈夫です。あっ、誰かは秘密ですけどね!」
その言葉に間抜けな声が零れたが、気づいた時には電話は切れていた。
「天月のやつ…。」
梓に好きな人がいるけど大丈夫って何のこと?
俺かもしれないって、期待していいの?
「あーもう、なんなんだよ」
心の靄は増えるばかりだった。
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雷亜 - 私って涙もろいんですよ(笑)一ページ 一ページ泣いて泣いて泣いて(笑) もうすごいですよ涙の量が((殴 (2018年4月7日 9時) (レス) id: e1e03b0ec4 (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - 読みやすいしキャラが掴めていてとても楽しく拝見させていただいています。好きです。 (2017年12月10日 10時) (レス) id: 9ac8f0bb45 (このIDを非表示/違反報告)
MiKU(プロフ) - 星華(´∀`*)さん» ありがとうございます!無事第1章が完結してこちらも嬉しい限りです…!そう言っていただけて私も頑張って書き続けた甲斐がありました!続編含めて頑張るのでよろしくお願いします! (2017年11月14日 7時) (レス) id: fb7ad52b3c (このIDを非表示/違反報告)
星華(´∀`*)(プロフ) - 1章完結おめでとうございます!もう…一気に読んだんですが…涙が…。すごく好きになりました!!続編楽しみにしてます!頑張ってください! (2017年11月13日 16時) (レス) id: 110a37d70c (このIDを非表示/違反報告)
MiKU(プロフ) - 唄葉さん» 唄葉さんありがとうございます!大好き、なんて言葉わたしにはもったいないです……!第2章でも頑張らさせていただくので、よろしくお願いします!ありがとうございました!! (2017年11月4日 16時) (レス) id: fb7ad52b3c (このIDを非表示/違反報告)
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