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「俺と真剣に向き合おうとして、
本当に向き合うべきそらるさんへの気持ちに蓋をした。
俺は…それが嫌なんです」
センラくんは立ち上がって、俺の方を真正面から見た。
ライトはセンラくんを照らす。
直後、センラくんは自分を
「俺が好きやったのは"梓ちゃん"じゃなくて、"そらるさんを好きな梓ちゃん"やったんです。
……叶うはずのない、恋でした。
失恋することが目に見えていました。」
「…ごめん」
「謝らないでください」
靴音が響き、センラくんは俺と反対方向を向いて、隣に立った
「センラは梓ちゃんのことが好きです。」
「…」
「でも、俺は 梓ちゃんと結ばれたくありません」
「……」
「俺は………
梓ちゃんにはそらるさんと結ばれてほしいです」
「…っ」
「梓ちゃんのこと諦めないでください。」
ふんわりとした声でそう言うとセンラくんはポケットに手を突っ込んで歩き出した。
そして舞台袖に入る直前に振り返って、パチンとウインクして
「次に隙を見せたら、センラは次こそ本気出して奪いますから♪」
と言った。
センラくんの目尻からは雫が一筋流れていた
「絶対、奪わせない。」
諦めようと決めていたのに、諦められずに終わった。
背中を押された。
あの時の翔太のように、今度はセンラくんに。
「ありがとう、センラくん」
楽屋に戻れば、笑顔でみんなが俺を出迎えた。
リハーサルを行って、終わって。
開場されて、開演した。
2017/5/7 20:37
〜センラ side〜
ひきフェスは大盛況のまま終わりを迎えた。
それぞれが自分のできる最善のことを尽くした。
そして、俺は…
「志麻くん、ちょっと電話するんで抜けますね」
「ん?あ、あぁ、わかった」
楽屋を出て、少し歩いた先のベンチに座ってスマホを操作した。
画面に表示された 梓ちゃんの文字
何回目かのコール音の後、愛しい人の声が聞こえた
『もしもし』
「あ、梓ちゃん?」
『はい、梓です。ひきフェス終わったんですか?』
「うん。終わったよ」
『そうですか。お疲れ様です』
柔らかな声が耳を通る
『どうかしたんですか?』
「言いたいことが、あるねん」
これで、最後
「別れよう、梓ちゃん。」
さようなら、愛しい人
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雷亜 - 私って涙もろいんですよ(笑)一ページ 一ページ泣いて泣いて泣いて(笑) もうすごいですよ涙の量が((殴 (2018年4月7日 9時) (レス) id: e1e03b0ec4 (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - 読みやすいしキャラが掴めていてとても楽しく拝見させていただいています。好きです。 (2017年12月10日 10時) (レス) id: 9ac8f0bb45 (このIDを非表示/違反報告)
MiKU(プロフ) - 星華(´∀`*)さん» ありがとうございます!無事第1章が完結してこちらも嬉しい限りです…!そう言っていただけて私も頑張って書き続けた甲斐がありました!続編含めて頑張るのでよろしくお願いします! (2017年11月14日 7時) (レス) id: fb7ad52b3c (このIDを非表示/違反報告)
星華(´∀`*)(プロフ) - 1章完結おめでとうございます!もう…一気に読んだんですが…涙が…。すごく好きになりました!!続編楽しみにしてます!頑張ってください! (2017年11月13日 16時) (レス) id: 110a37d70c (このIDを非表示/違反報告)
MiKU(プロフ) - 唄葉さん» 唄葉さんありがとうございます!大好き、なんて言葉わたしにはもったいないです……!第2章でも頑張らさせていただくので、よろしくお願いします!ありがとうございました!! (2017年11月4日 16時) (レス) id: fb7ad52b3c (このIDを非表示/違反報告)
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