愛の在り方 【苺】

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『やめてください』


驚いた顔を文字通りに見せつけた君


「僕が君のこと好きなのは前から気づいてたでしょ？何を今更」



ただ、貴女の口から出るのは誰かから叩き込まれた言葉だけ


表情ひとつ変えずに特に意志もなく義務のままやんわりと僕を抑える手。




『私には恋が分かりません』


「ねぇ、それは誰の言葉？」



『……』


声音を低く変えてみても怯えないその瞳。
よく覗いてみればハイライトがひとつもない。




君の目は薄汚く濁っている。



そう。君は、操られている




『緊急事態発生中』




唐突に君じゃない声が唇から唄うと同時に僕は酔いから覚める。






…あぁ、そう言えばコイツ、生き物じゃないんだった




だがこの世の中、恋に落ちた方の負け

AIロボットに恋をするなんて自分でも馬鹿馬鹿しいと思った


一瞬のうちに鬼の形相となった彼女はただ一言、残酷に言葉を打ちのめす。




『規約を破ったAIは破棄される運命』


『私はAI。恋愛はプログラミング外。仕事の邪魔』



破棄



淡々と語られた不穏な響きが僕の胸を凍らせた。



「破棄されてしまうのは君に恋してしまった僕のせい？」



『…っ！』



彼女は急に胸元を抑え、苦しそうにもがいた。


…という表現は正しいのだろうか。



君にそもそも意志があるかは分からない。


でも、それでも誰かに覚えさせられた言葉を発するのを嫌がっているように、僕には見える。






「ねぇ」




彼女を苦しめる犯人が君のマスター(・・・・)なのだと気づいてからは行動が早かった。



僕を機械越しに見つめているだろう知らない人物を睨みつけ威嚇した。



無意味だと知っていながらも人間はどうして動いてしまうんだろう。



浅はかで哀れだと、君は僕を蔑むのだろうか





『愛を知った私は所詮役立たずのAI』


謎の人物に操られるまま君は苦しそうに言葉を吐いた。





すると突然、奇声のようなものを上げたと思った瞬間




プツリ




機械の電源を抜かれた音がして、君は呆気なく倒れてしまった。






" 私は ころんさんを AI(愛)していました "





最後に、そう一言残して。






恋は、人同士じゃなきゃダメなんですか


無謀な相手に恋してしまうのは、阿呆らしいですか







「あれ」





そういえば





君、名前 なんだっけ。




そう心に落ちた瞬間僕は電話をかけた。




「AIロボットって、粗大ゴミで対応出来ますかね？」



恋は、単純だ。

苦痛 ｴｲﾖｳ 【紫】→←AI ｱｲ【青】

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