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彼女が結婚してから──────


なんて、年数を数えるのもバカバカしくて、痛々しい。








そんなこと、とっくにやめて僕は…





何 や っ て ん だ ろ 。





「ころんさんっ、ちゃんと私を見て…?」



「へ?あぁ、ごめん」





するり、といつの間にか僕の手を女特有の小さな手が包み込む。






何となく "そういうこと" をしないといけない雰囲気になってただひたすら唇を交わし合う。





ギシッと、軋む音がして気づけば僕は彼女を押し倒していた。




……それはまるで、 義務 のようだった



僕の本能でやったんじゃない。

やんなきゃいけなかったんだ




「ふふ、珍しい。ころんさんが積極的だなんて」





かつて僕に女を仕掛けてきた若手教師がそう言って僕のネクタイにそっと指をかけて引っ張った。






窓から見えるのは綺麗な夜景。

そこに必然であるかのように設置されたホテル。





そして目の前には紅潮した頬の女。



僕は、そんな景色の中にどう溶け込んでいるのだろうか。



君には、どう映っているのか。





「はじめてなので、優しくしてくださいね?」






僕のことが好きすぎるが故に嫌われないように細心の注意を払った教科書のような言葉が耳を掠める。





深いキスをすると蕩けた女の顔をする。




僕はAのそんな表情、見たことがなかった



旦那には見せているのだと思うと非常にムカムカした。





あぁ情けない。


今お付き合いさせて頂いている"彼女"を抱きながら何過去に浸ってんだ




柔らかい感触が僕を溶かしてくれる




そう思っていた




君の妖麗な瞳なら僕を動かしてくれると思っていた






ただただ仕事のように動く手は彼女に何の幸せも与えなかったのだろうか





動きを遮られ、全てを断られる。



僕に全く身体の変化が起こらなかったからだろうか、
彼女は恥ずかしそうに白い肌を白いシーツで隠した。





…キスマークは、当然のことながらついていない





Aには、人の女であっても容赦なく残したがったのに。




…変なの。




月明かりが更に彼女を白く照らした。


もう、消えてしまうのではないか


そんな儚さを放って。




ふと、小さな声が僕の胸に刺さる。





─────ころんさんは、







"私を通して別の人を見ているみたいな扱い方を、偶にする"





もう、僕は誰も愛せないんだ


誰も愛してはいけない




僕がこうなったのは全部


"あなたのせいだから"

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作品ジャンル:恋愛
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眠民。 - ころんさんの小説久々にみたのですが‥雰囲気大好きです🤞🏻🤞🏻私的にはハピエンだと思いました。 (2月8日 18時) (レス) @page39 id: 7e432fa76e (このIDを非表示/違反報告)
なむなむ(プロフ) - すんごく良かったです!私は最後少しモヤモヤしちゃったんですけど、おもしろかったです!\(^-^)/ (2023年4月14日 17時) (レス) @page39 id: da249a0fb7 (このIDを非表示/違反報告)
ふわち - 読んでるとき、思わずないちゃいました…。すごくおもしろかったです! (2022年8月19日 11時) (レス) @page39 id: ed311d2c92 (このIDを非表示/違反報告)
かな?(プロフ) - かけちゃってるんですから。恋って、すごく苦しいものだけど、このお話の恋はその中でも苦しかったです..。報われないなって。長くなっちゃいましたが、考えられるお話をありがとうございました! (2022年8月17日 9時) (レス) id: 1a1d4d0288 (このIDを非表示/違反報告)
かな?(プロフ) - 颯桜さん» このお話、読んでて本気で泣きそうになりました。すごく切なかった...。映画化してほしいくらいですw人間の汚いところとか、逆に苦しいくらいに綺麗なところとか、本当にぐわってきました。ハッピーエンドかもしれないけれど、残酷ですよね。人生の半分を幼馴染に (2022年8月17日 9時) (レス) @page38 id: 1a1d4d0288 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:颯桜 | 作成日時:2020年10月3日 20時

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