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もう、何もかも辛くて。
諦めたはずの恋に、何故ここまで僕は囚われてしまっているのか。
それは、人生の大半をAという女に支配され生きてきたからだろうか。
「あーあ、僕このまま独身なのかなぁ」
デスク周りに溜まりに溜まっていく結婚式への招待状。
その殆どの式に参加していない僕。
次第に招待状も届かなくなってきた。
「ころんもはよ結婚すればいいのに。楽しいで?」
唯一参加したかつての友人の結婚式でそう声をかけられた。
過去にAに恋をしていた友人が結婚した。
過去にAに恋をしていた僕は結婚ができない。
焦りを通り越しては何だか諦めのような気持ちが強かった。
僕を求めてやってくる女がいない訳では無いが誰一人として僕の胸を撃ち抜くものはいなかった。
…まぁ、晩婚化している現代、まだまだ僕にもチャンスは訪れるだろう。
──────別に
結婚なんて、アイツ以外としたくなかったんだけど。
結婚願望がない僕はただ社会になめられないように
今日を平凡と生きる。
いっその事何処かの薄汚いドラマや漫画みたいに略奪とか簡単に出来ればいいのに
…何処かの甘ったるいラブソングみたいに、愛に溺れられたらいいのに
久々に彼女がよく聞いていた一昔前に流行った歌を部屋に流してみた。
君のようなわたあめの香りが部屋に充満した気がして
吐きそうになった。
慌てて音楽を止めて、ベッドに飛び込む。
ふと、今まで気に求めなかった窓辺に視線が向かう。
────枯れた花が、
無駄に高価な花瓶に刺さったままだ
「ブーケトス」
Aの結婚式でたまたま手に渡ってしまったブーケ。
あの男の、嫌味かと思った。
その華は僕と彼女が何をどう間違っても結ばれることがないことを証明した。
一回くらい、あの旦那の腹黒さや独占欲の深さを知って盛大に喧嘩して僕のとこに転がり込んでくれればいいのに
なんて考えてみるも僕の方が断然嫉妬深いことを知り早々に諦めた。
「…神様の、いじわる」
僕の方が、ずっと前から好きだったのに
僕の方が、君のこと何倍も知ってるのに
なのに
僕は君の決定的な愛の表情を知らない
愛に溺れた君の女の顔を、僕は知らないのだ
暇さえあれば君が僕の心の隙間に入り込んでくる
それは言うまでもなく
"まだ僕はあなたの事が好きだったから"
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眠民。 - ころんさんの小説久々にみたのですが‥雰囲気大好きです🤞🏻🤞🏻私的にはハピエンだと思いました。 (2月8日 18時) (レス) @page39 id: 7e432fa76e (このIDを非表示/違反報告)
なむなむ(プロフ) - すんごく良かったです!私は最後少しモヤモヤしちゃったんですけど、おもしろかったです!\(^-^)/ (2023年4月14日 17時) (レス) @page39 id: da249a0fb7 (このIDを非表示/違反報告)
ふわち - 読んでるとき、思わずないちゃいました…。すごくおもしろかったです! (2022年8月19日 11時) (レス) @page39 id: ed311d2c92 (このIDを非表示/違反報告)
かな?(プロフ) - かけちゃってるんですから。恋って、すごく苦しいものだけど、このお話の恋はその中でも苦しかったです..。報われないなって。長くなっちゃいましたが、考えられるお話をありがとうございました! (2022年8月17日 9時) (レス) id: 1a1d4d0288 (このIDを非表示/違反報告)
かな?(プロフ) - 颯桜さん» このお話、読んでて本気で泣きそうになりました。すごく切なかった...。映画化してほしいくらいですw人間の汚いところとか、逆に苦しいくらいに綺麗なところとか、本当にぐわってきました。ハッピーエンドかもしれないけれど、残酷ですよね。人生の半分を幼馴染に (2022年8月17日 9時) (レス) @page38 id: 1a1d4d0288 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:颯桜 | 作成日時:2020年10月3日 20時