・ ページ12
.
『…す、すみません』
私の腕をぎり、と掴み上げ、私を見下ろして睨みつける彼。ミホークさんより遥かに大きな身体をしているせいか、首も痛んでくる。
普段は不意打ちでもそこまで驚くことはないのだが、少し気を抜いてしまったことに反省した。
「海兵じゃねェな。さっきからこそこそしやがって、何が目的だ？」
『……特にはないです』
「ハッ、じゃあテメェは初対面の相手に拳をお見舞いするくらい野蛮な女ってことかァ？」
『……』
これに関しては私が全面的に悪いため、彼に何を言われても言い返せない。再度すみませんでした、と小さく漏らせば、それに被せるようにしてミホークさんが口を開いた。
「…その辺にしておけ。そいつは俺の連れだ。…今のも、お前を狙ったというわけではない」
「ア゛？…鷹の目に連れだと？珍しいこともあるもんだなァ…。俺を狙ったんじゃねェってなら何を狙った？」
「……霊、だ」
「…、テメェ、頭おかしくなったのか？」
彼の拘束から私を助け出してくれたミホークさん。葉巻の彼をなんとか沈めようとするが、依然と額に青筋を浮かべてこちらを睨みつけてくる。
あまりの眼力に思わずぴくり、と肩が一瞬震えてしまった。
それを知ってか知らずか、「そう睨むな」と、ミホークさんは私の肩を抱くように手を回してきた。物理的な距離が一気に近づいて、少し緊張する。
「…女、どういうわけか説明してくれるよなァ」
たった一歩で私の目の前にやって来て、ニタリと口角を上げた。葉巻の匂いが混じった香水の香りに、くらりとした。
それに合わせてまた肩に乗っていた呪霊もニタリと笑った気がしたので何となくムカついて、腕を横に振り切り、ついでに部屋に──────彼ら二人にくっ付いていた呪霊を全て祓った。
私が腕を出したことに驚いて、一瞬警戒態勢に入った彼だったが、次の瞬間目を少し見開いて「…何をした」といぶかし気に聞いてきた。
『……祓いました。たくさん憑かれていたので』
「？疲れて…？」
『そっちじゃないです、悪霊とか、そういう類に憑かれて』
「悪霊…？」
何言ってんだコイツ。と言いたいのがよくわかる。マントを買ってもらったお礼と言って一度ミホークさんに憑いていたのを祓った時なんて「大丈夫か？」と彼に頭の心配をされた。
寧ろ私としては二人がそんなに憑かれて死んでないことに驚きだよ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 873人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆあ(プロフ) - 続き書かれますか？主様のめっちゃ好きなので楽しみにしてますね (3月2日 14時) (
レス) @page50 id: 976091bd0a (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - 名無し50398号さん» 少しずつ更新を再開していくつもりです…！好きと言って頂けるだけでも嬉しいのにすっごくだなんて…とても嬉しいです！頑張ります！！ありがとうございます！ (10月24日 21時) (レス) id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - セツさん» ありがとうございます！！ぜひドキドキしながらお待ちください！頑張ります (10月24日 21時) (レス) id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
名無し50398号(プロフ) - もう続きは書かないのでしょうか…すっごく好きな作品なので続きが楽しみです。更新、気長に待ちます！ (8月28日 1時) (レス) @page38 id: 73a8a7c4d7 (このIDを非表示/違反報告)
セツ(プロフ) - ワンピースのキャラ達とも着実にフラグが立ちまくってるぅ‥‥‥。七海と灰原とも一体いつ会うのか、ドキドキしながら読ませてもらってます！更新気長に待ってますので、頑張ってください。 (6月30日 20時) (レス) @page38 id: a9c1286aea (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちあき | 作成日時：2022年10月4日 18時
