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「──お、一年ズじゃん。何、飲みモン?俺コレ〜」
「コラ悟」
自分の分もついでに買っておこうと思い、紅茶のボタンに手を伸ばした時、後ろから人影が覆い被さり、そのままいちごミルクのボタンを押された。
振り向かずともわかる。五条先輩だ。
『⋯⋯どうも、』
「お疲れ様です!!」
「はぁ⋯⋯、お疲れ様です」
七海は呆れた視線を送り、灰原は笑顔で挨拶。んー⋯会いたくなかった⋯⋯
五条先輩に買っておいて(不本意)夏油先輩に何も無いのも些か失礼だと思ったため、『夏油先輩は何にします?』と聞いた。
「あ、私もいいのかい?じゃあ紅茶で」
「遠慮する気ねーじゃんウケる」
一々五条先輩が突っかかって来るのはこの際無視。
硝子先輩の姿が見えなかったため、適当にコーヒーを買い、夏油先輩に手渡した。
「?これは」
『硝子先輩の姿が見えないので。渡して頂けるとありがたいです』
「あぁ、そういうこと。わかったよ」
身体を動かした直後でかなり疲労が溜まっている。出来れば早めに教室に戻りたいところだ。
私はフードで隠れているけれど、七海は不機嫌さが顔にダダ漏れだ。もう少し隠す努力をしようよ。
「お前ら何、体術だったの?ンなの俺に言えばいつでも特訓してやんよ」
「いいんですか!」
「バカ灰原。私達が死ぬに決まってるでしょう」
「あ?ギリギリでいたぶるわ」
「言い方を変えようか悟」
先輩方は七海と灰原に絡み始めて、私のことは視界から消えているようだ。うん、帰ろ。
ゆっくり足を動かし、背を向けながら扉の方へと向かう。
「──雅、」
『ッ!?』
後ろから夏油先輩に声をかけられ、思わず出そうになった声を押し殺しながら振り向いた。大袈裟に肩をビクつかせた私が面白かったのか、小さく肩を震わせ、
「これ、さっき買おうと思ってたんだろう?私は自分の分あるから、ほら」と言って五条先輩に購入を阻止された紅茶を私の手に持たせた。
え、ちょっとだけ、きゅん。
『⋯ありがとう、ございます』
廊下を歩いてる途中で逃げたことがバレ、七海に少し怒られた。何で。
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レモネード - いいですね! (5月28日 13時) (レス) @page8 id: abd64666f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちあき | 作成日時:2022年9月22日 19時