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『…おぉ……、広いな』
あれからしばらく。一人海に出て、改めて海の広さを目の当たりにした私は思わず感嘆の声が漏れ、どこまでも続く青をじっと見つめていた。
一人にしてはこの船は少し大きいような気がするが、お陰で快適に過ごせている。
方角を確認しながら舵を取りつつ、嵐とか来たら怖いなぁ…とぼんやりと考えていたが、実際私に襲ってきたのは嵐でもなんでもなく、全く知らない海賊だった。とは言っても二十人もいない、割と少数精鋭の海賊だ。
「がはは!!おいアイツ女か?一人だぜ!」
「うひゃッ!そりゃいい。とっ捕まえて使い倒そう!」
そう言って銃やサーベルをこちらに向けながら船に乗り込んでくる奴ら。
全員乗り込んできて、私を見つめる彼らに、私は思わず『バカ…』と呟いた。その声を拾った船長らしき男はピキ、と青筋を立て、何か発しようと口を開いた。
──────それを遮るようにして響いたのは、奴らの船からの爆発音。
背中に挿していた刀を取り出し、一振りして呪力を飛ばした。
瞬きの間に起こった出来事に、彼らは訳が分からないといった様子で、私の刀を見て、それから後ろを振り向いた。
「…お、俺らの船が!」
「おい火ィ上がってるぞ!早く戻れ」
『…は。帰さないよ』
「なッ──────」
*
『…疲れたな』
もう何度か刀を振って彼らの船を沈めた後、あっけなく私の手によって気絶してしまった海賊たち。船に置いてあった縄で思い切り縛り付け、適当な部屋にぶち込んだ。
次の島までは二日ほどだとローさんたちと別れた島の漁船の人が言っていた。海軍支部に預けるまでの辛抱だ、と、一人旅初日にして知らない人の気配でいっぱいになった船内で溜息を吐いた。
──────念のため言っておくが、目が覚めた彼らにはしっかり食事も水も与えているし、彼らが望めば風呂にも行かせたし、少し
つまるところ、本当に私を狙ってきたのかと疑問を抱くレベルで彼らと打ち解けてしまったのだ。拘束を解いても支障がないくらいに。
「姐さん!くそデケェマグロ釣れました!」
「姐さん!少し舵取った方がいいぜ。このまま直進すると雷雲にぶち当たりそうだ」
『…姐さん、』
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ちあき(プロフ) - shionさん» 初コメありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです!!続編までもう少々お待ちください!! (2022年9月29日 8時) (レス) id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
shion - 初コメ失礼します!!読んだら本当に止まらず、すっごく面白くて!!もっと早くに出会っていたかったですっ…!続編ずっと待ってます!! (2022年9月29日 1時) (レス) @page50 id: f0db8db4d6 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - ttakedasaki0906さん» ありがとうございます!!そうですね、キッドさんも続編以降出せたらなとは思ってます!楽しみにしていて下さい!^^* (2022年9月28日 16時) (レス) id: 1ed832ee63 (このIDを非表示/違反報告)
ttakedasaki0906(プロフ) - ローの独占欲が最高すぎてニヤニヤしちゃいます笑!!キッドも好きなのですがキッドは登場予定はありますか!?(≧∀≦) (2022年9月28日 0時) (レス) @page50 id: 668cdece5e (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - きゃーぽんさん» わあ、、出会ってくれてありがとうございます!!頑張ります! (2022年9月27日 11時) (レス) @page34 id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちあき | 作成日時:2022年9月22日 18時