呪術師と初上陸 ページ20
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次の日、少し早めに起床した私は船長室に来ていた。彼も起きているか心配していたが、どうやら船長さんはそもそも寝ていなかったようで、隈を深めた顔で私を部屋に入れてくれた。
「⋯朝早くに何の用だ」
『今日、島に着くとのことなので、挨拶に』
「あ?⋯あァ、そういやそんな話だったな」
『お世話になりまし──────』
た。と口にする前に「駄目だ」と言う声に遮られた。思わず『は?』と、腑抜けた声を漏らしてしまった。これで二度目だ。
曰く、これから上陸する島は夜の治安が悪いらしく、女が特に襲われやすいらしい。
そんな中一人でいれば狙われることは間違いない、だから更に次の島まで我慢しろ。とのこと。
──────???
思考を放棄して、思ったことをそのまま口にした。
『いや別に、⋯私がどこでどうなろうが、私の責任ですし。⋯⋯部外者が長く居候してても船員さんたちの居心地が悪いでしょう』
「成行きとはいえ俺のクルーが拾ってきた、俺の患者だ。変なところで死なれても困る」
“元”患者ですけど。とは口に出さず、はぁ⋯と曖昧な返事をする。
その後も何度か『本当に駄目ですか』「あぁ」⋯、⋯と、あぁbotと成り果てた船長さんに呆れ、わかりました、と返事をし、船長室を後にした。
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「着いた!島だ!飯だ!女だ!!」
「キャプテン行っていいっすか!」
「あァ、くれぐれも俺の顔に泥塗る様な真似はするんじゃねェぞ」
「よっしゃー!上陸!!」
そう叫んで船員さんたちは船を降りて行った。時刻はお昼を少し過ぎたところ。夜は酒場に集合とだけ彼らに言いつけ、船長さんは自室へ戻って行く。俺は寝る、と一言。
私は船長さんからもらったお金で日用品の買い出しに行こうと考えていた。この島で船を降りることを禁じられたため、そうなった以上服とかずっとイッカクさんに借りっぱなしのわけにはいかない。
じゃあ私も行ってきますと軽く声をかけ、船を降りようとした。
「──ペンギン、そいつに着いていけ。⋯まだ監視中なんだろ?」
「⋯え?あ、アイアイキャプテン⋯⋯」
去り際の船長さんがそう言い残したことにより、ペンギンさんと行動を共にすることになった。因みに、まだ船に居候する、とベポくんに伝えたところとても喜んでいた。
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ちあき(プロフ) - shionさん» 初コメありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです!!続編までもう少々お待ちください!! (2022年9月29日 8時) (レス) id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
shion - 初コメ失礼します!!読んだら本当に止まらず、すっごく面白くて!!もっと早くに出会っていたかったですっ…!続編ずっと待ってます!! (2022年9月29日 1時) (レス) @page50 id: f0db8db4d6 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - ttakedasaki0906さん» ありがとうございます!!そうですね、キッドさんも続編以降出せたらなとは思ってます!楽しみにしていて下さい!^^* (2022年9月28日 16時) (レス) id: 1ed832ee63 (このIDを非表示/違反報告)
ttakedasaki0906(プロフ) - ローの独占欲が最高すぎてニヤニヤしちゃいます笑!!キッドも好きなのですがキッドは登場予定はありますか!?(≧∀≦) (2022年9月28日 0時) (レス) @page50 id: 668cdece5e (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - きゃーぽんさん» わあ、、出会ってくれてありがとうございます!!頑張ります! (2022年9月27日 11時) (レス) @page34 id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちあき | 作成日時:2022年9月22日 18時