呪術師と次元超越 ページ1
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某月某日、都内某所。
私たちは二級呪霊討伐の任務に赴いた先で、呪詛師と対峙していた。正直言って、私たちならなんてことない相手だったが、呪霊の数が多く手間取ってしまったせいで疲弊が隠し切れず少々てこずっていた。
「──灰原危ない!」
「ッ、わ!ナイス七海!」
『何あの術式面倒⋯⋯』
呪詛師の術式は“次元超越”。右手で二次元を三次元に、左手で三次元を二次元に変換することができる。地面に張り巡らされた二次元の無数のトラップに、呪詛師本人の攻撃。
いくら三対一とは言え死角からの攻撃に意識が向いてしまってうまく自分たちのペースに持ち込めない。
そうやっている間に呪詛師は一瞬の隙をついて私の目の前にやってきた。左手を私のお腹に当てて───
「A!!」
「Aッ⋯⋯!?」
『!!ッ二人とも来るなバカ⋯!』
──────くふふ、⋯さようなら、呪術師
眩しい光に包まれ、徐々に眠気が襲ってくる。
光と闇の混濁した視界に映った七海と灰原の顔は酷く歪んでいた。私は思わず手を伸ばし──────
────────────
────────
──
『ッ、!?』
息苦しさと、身体への圧力を感じて意識が浮上した。目を開くと、広がるのは暗い闇に一筋の光。
口を開くと何かが口の中に勢いよく流れ込んできた。
──────水だ
理解した瞬間、水面に浮上しようと身体を動かす。⋯が、かろうじて右腕を伸ばせただけで、抵抗も虚しく、身体は沈んでいく。
手を動かすが、水を掴むばかりで光はどんどん遠ざかっていく。
『───ッ、ッ!!』
あぁ、苦しい。⋯私はこのまま死ぬのだろうか。少しずつ視界が狭まり、感覚もなくなってくる。
せめてもの抵抗に、ともう一度手を握り締め──────
何か、固いものを掴んだ。───これ、手、だ。
そのままぐ、と引っ張り上げられ、腕に抱えられる。上昇し、水面に顔を出したと同時に水を吐き出し、ぷつり、と意識が途切れた。
──────願うことなら、目を覚ました先に七海と灰原がいますように。
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ちあき(プロフ) - shionさん» 初コメありがとうございます。そう言っていただけてとても嬉しいです!!続編までもう少々お待ちください!! (2022年9月29日 8時) (レス) id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
shion - 初コメ失礼します!!読んだら本当に止まらず、すっごく面白くて!!もっと早くに出会っていたかったですっ…!続編ずっと待ってます!! (2022年9月29日 1時) (レス) @page50 id: f0db8db4d6 (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - ttakedasaki0906さん» ありがとうございます!!そうですね、キッドさんも続編以降出せたらなとは思ってます!楽しみにしていて下さい!^^* (2022年9月28日 16時) (レス) id: 1ed832ee63 (このIDを非表示/違反報告)
ttakedasaki0906(プロフ) - ローの独占欲が最高すぎてニヤニヤしちゃいます笑!!キッドも好きなのですがキッドは登場予定はありますか!?(≧∀≦) (2022年9月28日 0時) (レス) @page50 id: 668cdece5e (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - きゃーぽんさん» わあ、、出会ってくれてありがとうございます!!頑張ります! (2022年9月27日 11時) (レス) @page34 id: 2fefdf0ec1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちあき | 作成日時:2022年9月22日 18時