花とゆめ ページ7
「ア〜〜ッ!!!こわい!くらい!」
時計の針が12時を回った頃。暗い空には月がぽっかりと浮かぶだけ。その下で真っ暗な村を歩く。
あの家の影から、突然鬼が飛び出してくるかもしれない。そう思うと足がガクガクと震え、上手く前に進めない。
以前の俺だったら、こんな夜中に一人きりで鬼がいるかもしれない場所を見回りするなんて、考えられなかっただろう。
「でも…でもAちゃんを守るため……!」
本当は今直ぐにでも家紋の家へと戻りたいが、Aちゃんの笑顔を思い出して、自分を鼓舞する。
俺…頑張るからね!!見ててね!!
辺りは静まり返っていて、聞こえるのは風の音と自分が呼吸をする音だけ。耳をいくらすましても、鬼の音は聞こえてこなかった。
「お、おに…おにいないの…?」
問いかけてどうする。しかし、その問いに答える者はいない。
結局その後鬼が現れることも、誰かの悲鳴が聞こえることもなく、空が白んできて、朝を迎えてしまった。
東の山の向こうから眩しい太陽が覗き、俺はその場にへたり込む。あぁ良かった……じゃなくて、何だよ、鬼居ないじゃん!
これからどうしよう。鬼だって警戒して直ぐには出てこないかもしれないので、取り敢えず1週間くらいはここに滞在することになるだろうけど……
緊張が解けた途端、大きな欠伸が出る。戻って寝よう……俺にしては頑張ったし。うん。
起きたらまたAちゃんに会いに行こうかな。忙しいかな。迷惑かな。何なら顔を見るだけでもいい。それだけで明日からも頑張れそうな気がする。
何か贈り物をあげたら喜ぶだろうか。花とか…?そういえば、初めて会った時花の籠を持っていたAちゃん。すっごく似合ってた。
………そうだ!花だ!!Aちゃんは手術費用を稼ぐ為に花を売っていた。これからは毎日Aちゃんの売る花を買おう。それならAちゃんも断りはしないだろう。
布団にくるまって、ウフフと笑う。Aちゃん、喜んでくれるかなぁ。
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mahiro - 凄く面白いお話!善逸君大好きなのでありがとうごさいます!!頑張って下さい!!ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)ノ!! (2019年12月20日 16時) (レス) id: ba7c98e06b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:空岡 | 作成日時:2019年11月23日 21時