・ ページ7
.
それから連絡先を交換して
入学式に出るために分かれた。
『ねぇ、智くん良かったの?』
『うん、何となくね。いい気がする』
そっか、
智くんが話そうと思える相手が出来た。
それだけでもすごく嬉しかった。
中学でも高校でも長い時間を過ごしてきた
仲のいい友人にさえ、
病気のことは黙っていた。
同じクラスだといえ、ずっと一緒に
いれるわけじゃない。
誰かに言った方がいいんじゃない?
その答えは悲しいもので。
『もう、これ以上……大切な人の悲しむ顔も
苦しむ顔も見たくないから』
『だから言わないよ』
『俺には、翔くんがいれば十分』
そう言って笑ったんだ。
もし、もしも。
1人になった時に苦しくなったら。
その時はどうするの?
1度だけ聞いたその答えは。
『1人で苦しむから、いいの』
それぐらいの覚悟で。
誰にも言わない、と決めていた。
こうして初めてあったばかりの
潤くんに言えるなんて。
何かあったのかと、少し心配している俺は
『また翔くんの過保護が始まった』
なんて茶化されるんだろうか。
でもそれでもいい。
沢山心配して、何も無ければ、それでいい。
111人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「病系」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:さとか | 作成日時:2018年8月23日 21時