その監督生、よく落ちる。【ツイステ】 (ページ6)

今日:32 hit、昨日:20 hit、合計:101,996 hit

視線の正体ページ6

片付けもあらかた終わり、少し休憩しようと

もともと備え付けられていたベッドに腰をかけた。

その時だった。

「久しぶりのお客さんだぁ～」

「腕が鳴るぜ…！」

透けた白いからだ。

人間で言うところの足がなく

宙に浮いている。

世に言うゴーストというものだと言うことは瞬時に理解出来た。

グリム「なななな、何なんだゾコイツら！」

『何処からどう見てもゴーストだよ。

…さっきから見てたのはアンタらか。』

「その通り～！」

「俺たち新しいゴースト仲間を探してるんだ。」

『へぇ…じゃあ僕を殺そうってわけね。』

とんでもないところにぶち込んでくれたものだなぁ学園長さん。

どうして命の危機に脅えながら生活しなければならないのか。

と、普通の人なら言うだろうね。

生憎、取り繕わない僕は普通じゃない。

『あっそ、どうぞやればいいじゃないか。』

グリム「ふなっ！？お前何言い出してるんだゾ！？」

『アンタらはそれで脅かしてるつもりだろうけど

僕は死ぬのが怖くない。

それ以上の恐怖を知ってる。』

今までの人生で、幾度となく味わった。

普通なら、知る必要も無い感覚。

『おちて、落ちて、堕ちていく感覚は

孤独に落ちていく恐怖は

死の恐怖すら凌駕する。』

お前らに、私の恐怖は塗り替えられない。

「…お前さん。」

『ん？何かな。』

「…辛かったんだな。」

思考が停止した。

目の前のゴーストが言った言葉の意味が

簡単な言葉のはずなのに、全く理解できなかった。

『辛い…何が…？』

「…その表情から、お前さんがいかに孤独を恐れているかがわかる。

そこまでになるのはそう簡単なことじゃない。」

『…は？』

表情なんか、おかしくないはずだ。

いつも通り、軽く笑顔で

人と話す時は、いつも笑顔でって言われたから

だから

「…こんなときに、俺たちの手はお前さんに触れられない。

頭を撫でて慰めることも

抱きしめることも出来ない。

せめて、その泣く寸前の顔を笑顔にしてやりたいのに。」

『…そんな顔、してないよ。』

「ごめん。」

痛い、心臓が痛い。

どうして、何も辛いことは無いのに。

笑顔が保てなかったから？

違う。

やっぱり死ぬのは怖いから？

もっと違う。

人じゃない、ゴーストだけど

優しさに触れるのが、あまりにも久しぶりで。

『…うっ…ﾋｯｸ…ぁ…ッ…！』

涙が、溢れて止まらなくなった。

その日は、必死に私を慰めようとするゴーストとグリムに泣きついて

ゆっくりと、暮れて行った。