ハートの暖かさ ページ39
『お父さん!』
確かその日は
『私が作った曲、あのコンクールで最優秀賞に選ばれたんだよ!』
どこかの大企業が主催する作曲コンクールに応募した曲が
最高評価を貰ったと
『…お兄ちゃんの曲より、評価されたんだ。やっと。』
同じコンクールに応募した兄より、優れていると認められたと
舞い上がっていたんだ。
『今回の、頑張ったから…嬉しくて…』
努力が報われた気がしていた。
「…だから、何だというんだ。」
『へ…』
「勘違いをするな。
お前はいくら努力しようと_____」
崩れ去る。すべてが。
この失望が、絶望が
兄への憎悪へと変換されて、己の中が虚無へと変貌していく。
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暖かい。何かに包まれている気がする。
それでいて、凄く寒い。
自身の感情が、冷たくて仕方がない。
嫌な、夢だな。
エース「…だから、早く返せよ。」
『……エー……ス…?』
エース「…!A!?」
チェーニャ「あ、やぁっと起きたにゃあ。」
はっきりとしない意識で、状況を理解する。
ここはハーツラビュル寮のパーティー会場に向かう途中のバラの迷路で
僕は猫のようなモーブにソフトラベンダーの髪、金色の猫目の男性に抱きしめられながら
エースとデュース、グリムに見つめられている。
う〜ん、少し待ってほしいかなぁ。情報量が多い。
『…誰。』
チェーニャ「俺はアルチェーミ・アルチェーミエヴィチ・ピンカー。
チェーニャって呼んでにゃあ。」
『…そう。』
何となくわかる。
僕はさっき赤髪さんを確かに殺そうとしていた。
そんなつもりはなかったと言い訳しようにも、結果的にそうなったことに変わりない。
そして、それを止めたのがきっとこのチェーニャさんなんだろう。
『……』
そんなことがどうでもよくなるくらい、ものすごく寒い。冷たい。
エース「…A、こっち向いて。」
『…何。』
チェーニャさんに抱えられている僕に視線を合わせたエースの心配そうな視線が
火傷しそうなくらいに熱くて、一瞬動揺した。
どうして、エースだけ。
エース「マジックでいい?…今、飴持ってねぇから。」
『は…どういうこと…?』
エース「なんか面白い話してやろうか。10個くらいなら話題あるから…」
『ちょ、ちょっと待ってってば…』
エース「…何したら、お前笑うの。
何でもするから、もうあんな顔すんなよ…ッ」
そう言いながら僕の腕を掴むエースを
無意識のうちに、抱きしめてしまった。
あぁ、暖かいなぁ。
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れぃと(プロフ) - 続編移行の部屋がめっちゃ好きッスわwww (2021年8月2日 3時) (レス) id: 40283c6b11 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天空の巫女 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/
作成日時:2020年12月30日 22時