その監督生、よく落ちる。【ツイステ】 (ページ38)

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猫が虚を攫うページ38

Ace side

宙に浮いたAを追って、バラの迷路を駆ける。

マロンタルトを台無しにされた恨みとか、寮長への怒りがどうでもよくなるくらい

なぜか、俺は焦っていた。

エース「A！」

デュース「あれは…何かの魔法か…？」

「それはちょーっと違うかにゃあ。」

思わず足を止めた。

気絶してるAは違うとして、俺でもデュースでもグリムでもない声が聞こえたから。

見るからにここには、それ以外の奴はいねぇのに。

俺たちが足を止めたと同時に、Aの体が少し地面に近づいた。

エース「なんか、人が抱えてるみてぇだな。」

グリム「はぁ？誰もアイツを抱えてなんかないんだゾ。」

エース「いや、それは分かってんだけど…なんつーか…」

はっきりとした答えが出ないままでいると

Aを抱えながら地面に座り込む、1人の男の姿が現れた。

ラフな格好してる、猫みたいなやつ。

Aが浮いてたのは、透明になったこいつが抱えてたから。

急に地面に近づいたのは、抱えられたままこいつが座ったからか。

「そうそう、この子が浮いとったのは俺が抱えてたからだにゃあ。」

デュース「なんだ…この、人…？」

「俺はアルチェーミ・アルチェーミエヴィチ・ピンカー。

猫のような、人のような魔力を持った

摩訶不思議なヤツ。」

エース「アルチェ……何だって？」

チェーニャ「皆チェーニャって呼ぶかねぇ。

少なくとも、その辺の奴らとはレベルが違うぜぇ。」

そう言いながら、腕の中のAの頭を撫でた。

そうだ、こんな奴に動揺してる場合じゃない。

早く、早くあいつを取り戻さないと。

エース「Aを返せよ。」

チェーニャ「この子はAっていうんだにゃ～

さっきまでリドルを殺そうとしとったとは思えないほど可愛い顔してる子にゃあ。」

デュース「えっと…さっきAを気絶させたのはお前…なのか？」

チェーニャ「おん、そうだにゃあ。」

エース「それに関してはどうも。いいからそいつ早く返して。」

どうやら返す気はないらしく、さらに抱きしめる力を強めた。

つか、いつまであいつは気絶してんだよ。

エース「…ッいいから返せって！

俺今暴君に理不尽な目にあわされて機嫌悪いんだからさァ…これ以上イライラさせんなよ。」

チェーニャ「…おみゃー、何をそんなに焦ってるにゃあ？

俺は別にこの子を取って食おうとしとるわけじゃにゃーよ。」

エース「…わかんねぇよ。

わかんねぇけど、あの殺意に満ちた顔を消して

早く、コイツを笑顔にしねぇと…なんかまずい気がすんの。」