その監督生、よく落ちる。【ツイステ】 (ページ4)

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私、優しいのでページ4

それから、ペースを落として歩くこと数分。

先ほどまで居た場所からそう遠くないところに、

人気のない、廃墟が見えた。

少し使づいてみれば、もはや廃墟としか言いようがないさまで

作りは立派だったから、普通の家ではなさそう。

『…お前も、誰にも必要とされなくなったんだな。

僕と同じで…どこにも居場所がない。』

「それはどうでしょうねぇ？

家というものは、居場所を持つのは一瞬ですよ。」

背後から声がした。

先ほどの会場にいた声ではない。

何というか…少し大人びている声だ。

正体を知らないことには話もできないと思い、振り返った。

「どうも、初めましてAさん。

私、ナイトレイブンカレッジ学園長のディア・クロウリーと申します。」

『…はじめましてのわりに名前知ってるとか、もしかして貴方が僕をここに連れてきたんですか。

大人ですよね、もう少し人の迷惑を考えることを学んでから来てくれます？』

クロウリー「急に辛辣じゃありません？

先ほどまでのあなたは、居場所がないことを嘆く弱々しい女子だったというのに。

シクシク…」

『何の事だか～？』

再び表情筋に力を入れ、笑顔で煽り返すと

何かをあきらめたように溜息を吐いてから

学園長さんは話を始めた。

クロウリー「先ほどの入学式で、闇の鏡に「どこにも居場所がない」と言われていましたよね。」

『あぁ、そうでしたね。』

クロウリー「……はぁ。

こんなことは前代未聞で、学園側も各寮長も混乱しているんです。

かといって、それが大事なナイトレイブンカレッジの生徒を宿無しにする理由にもなりません。

なので、貴方に"居場所"に差し上げに参りました。

私、優しいので。」

防衛本能が信用してはいけないと警鐘を鳴らした気がした。

そう言えども、この信用に値しない学園長に従うほかに道がないことも明白。

ここは、素直に縋ってみよう。

『へぇ～それはありがたいですね。

ところでなんですけど、それってどこなんでしょうか？』

クロウリー「では、後ろをご覧くださ～い！」

言われるままに振り替えると、そりゃまぁ目に映るのはさっきまで見ていた廃墟。

ものすごく言及したい。問い詰めたい。

けどきっとものすごく面倒だから、黙って喜んでおこう。

『わ、わーい。ありがとうございます。がくえん…』

クロウリー「あぁ、そうそう。

この家を貸して差し上げる代わりに、この子をお願いしますね。」

「ふなぁ～！離せぇ！！」

さっきまで暴れていた猫を置いて、その場を去っていった。

よし、後で嬲り殺そう。