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不機嫌な獅子 ページ29

長い黒髪に、ライオンのような耳と尻尾。

褐色の肌に映えるサマーグリーンの切れ長の目に左目の傷の男性は

わかりやすく、不機嫌そうに顔を歪めていた。


完全に尻尾を踏んでしまったこちらに非がある。

ここは謝っておこう。これ以上面倒な事にならないように。


『すみません、嫌でしたよね尻尾踏まれるなんて。

大丈夫でしたか?』


「…お前。」


『はい。』


「…笑うんじゃねぇ。

お前の笑顔…あいつらみたいで不愉快だ。」


『笑顔で接したら…不愉快…か。

うーん、分からないことだらけで困るなぁ…じゃあ、申し訳なさそうにしますね。

はい、これでいいでしょう。』


猿でもわかるように、申し訳なさそうな表情に変えると

ただでさえ歪んでいた顔が、もっと歪んだ。

はぁ…これでもダメならどんな顔したらいいのさ。


「…ッチ、うぜぇ…お前、名前は。」


『A・ソリトゥスです。』


「そうか。じゃあソリトゥス、金輪際俺の目の前に現れるな。

お前の顔を見ると、虫唾が走る。」


『…あれ、やっぱダメですかこの顔も。』


「そうじゃねぇ。お前…」


『じゃあどんな顔したらいいんですか。

人と話すときは笑顔で話せって言われたから頑張ってるのに

それを否定されて、別の表情も否定されて。

教えてください、どんな顔して話せばいいですか。

大丈夫、どんな顔でもできますよ。

自分の感情くらい、操るのは容易いから。』


「おい、掴みかかるな…落ち着け!」


「おーい、レオナさーん……って、どういう状況っスか。」


必死になって、目の前のライオンさんの肩を掴んだ。

それと同時に、先ほどまではなかった声が

恐らく目の前のライオンさんを呼んだ。

思わず力を抜いて、声の主の方を見ると

ビスケットブラウンの癖毛にブルーグレーの垂れ目。

あの耳と尻尾は…多分ハイエナのものだろう。

どことなく幼い印象を受ける男性が立っていた。


レオナ「おいラギー、こいつを引きはがせ。」


ラギー「いやいや、どういう状況かの説明が先でしょ…まぁいいや。

ちょっと君、レオナさんこれから授業あるから

離してもらえないっすかねぇ…って…レオナさん。」


レオナ「何だよ…」


ラギー「何女の子にこんな申し訳なさそうな顔させてんスか。」


ライオンさんとハイエナさんが、僕の顔をまじまじと見てくる。

あぁ、そういえばさっきから表情変えてないや。


ラギー「…レオナさん。」


レオナ「はぁ…めんどくせぇ…おい、お前その顔やめろ。」


アンタが笑うなって行ったくせに。

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れぃと(プロフ) - 続編移行の部屋がめっちゃ好きッスわwww (2021年8月2日 3時) (レス) id: 40283c6b11 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:天空の巫女 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/TENMIKO/  
作成日時:2020年12月30日 22時

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