仮面なら外して2 (ページ39)

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私に目線を合わせてしゃがんで、CDが入ったケースを私に差し出す。

静佳「今リハ室誰もいないよ。

私はAにこの曲を聞いて欲しい。

みわの気持ち全部ここに書いてある。

みわにとってAは、本当に宝物なんだね。」

そう笑顔で言って、膝を抱えている手を引っ張って私の手にCDをしっかり握らせた。

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あれからも勇気が出なくて、長い間悩んだけれど静佳の言葉が気になって、重い腰を上げてリハ室に向かった。

驚くほど静かなリハ室のドアを開ける。

ほんとに誰もいなくて、広いリハ室が余計に広く感じる。

リハ室のど真ん中に無造作に置かれたCDプレイヤーにゆっくりとCDをセットして、大きく息を吐いて意を決して再生ボタンを押す。

壮大なイントロから入り、最初だけで間違いなく素晴らしい曲だと分かる。

"頬を掠めて吹き抜ける温度のある風が

世界をもう一周回りここに戻ってくるまで

僕の決心は揺るがずにいられるのだろうか"

"無理だよもう僕はどこへも行かない

優柔不断と言われても構わない

無理だよどちらかをひとつだけ選べというならば

ここに残って後悔しよう"

"ジレンマ今すぐに行かなきゃいけない

わかっているのに足が動かないんだ

ジレンマでも君をひとりだけ残して行けない

心が引き裂かれるくらい

どっちへ進めばいいかわからない"

静佳が聞いて欲しいと言った理由が分かった気がして、

本当にみわの気持ちが全て書いてあるとしたら…

そう思うと自然と涙がこぼれた。

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この歌詞は実際に、欅時代から中心となってグループを支えて、メンバーみんなから慕われる櫻坂の渡邉理佐ちゃんの卒業曲の「僕のジレンマ」という曲の歌詞です。

私が個人的に大好きな曲で、聞いた瞬間にこの主人公とみわの関係にピッタリだ！と思って使わせていただきました…。

本当に素敵な曲なので、ぜひyoutubeで聞いてみてください…。