仮面なら外して2

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本番も近づき、本格的なリハーサルが始まる。



今回は「#なう」という霞坂の今、現在をテーマにしたアルバムをひっさげてのツアー。




今を楽しむ。
今を表現する。




曲に没頭していたその時、




スタッフ「一旦休憩でー」





と声が掛かる。





メンバーの多くが大きく息を吐き、その場に座り込む。






私は1人その場に立ち尽くす。
リハーサル室の大きな鏡に映った自分を見てため息をつく。




「私はいいと思うよ」





そう笑顔で言ったみわの言葉が蘇る。


拒否すればいいのに、拒否できない自分がいる。









羽生さんは「忘れて」





そう言った。




向こうはもう何とも思っていないかもしれないのに、
本当に忘れられないのはこっちの方。







もう一度、静かにため息をついて、ふと鏡に映った自分以外に目を向ける。





休憩時間だというのに、


1人黙々と振りを確認する者。
ダンサーの方に質問をする者。
複数人で、真剣な顔で話し合いをする者。




誰ひとりとしてぼーっとしている人も、サボっている人もいない。





プライベートにうつつを抜かしているのは間違いなく私だけだった。









私はこのグループのセンターであって顔。




1番前で私がつまずけば、すぐ後ろを歩く皆にも間違いなく影響が及ぶ。






うじうじしている暇はない。



こんな所で立ち止まってはいけない。




私の居場所はここしかない。

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