残ったのは未練 ページ4
狭くて暗い部屋で、手元の明かりだけを頼りにノートに手書きで歌詞を起こす。
書いては消して、書いては消しての繰り返し。
もうどれくらいの時間机に向かっているのか分からなけれど、ただただ夢中で文字を書き出す。
元々は書く気のなかった失恋曲。
どうしても気持ちを抑えられなくてただ一心不乱に書き出す。
"あの頃確かに私は君を好きだった"
"今でも私の心を揺さぶるあの声が大嫌い"
"手を離したのは私なのに、私の心に残ったのは未練だけ"
"君の瞳に映った私は笑えてたかな。自然だったかな"
思い出す度に涙が目に溜まって、拭って、まとまりのないただ感情を並べただけの自己満の歌詞を書きなぐる。
「…元気だった?」
泣きそうな顔でそう言った彼。
いつも笑ってて、泣くなんて滅多にない彼の目が潤んでて
思わずつられて泣きそうになったのをぐっと堪えて
「…元気だったよ。…デビューおめでとう」
とぎこちなく笑って返した私。
周りには自然に見えていただろうか。
元、同じ事務所の練習生で顔見知り程度の仲に見えただろうか。
"I still love you."
最後に書いたその歌詞はダメだと思い、消そうとして消しゴムを手に取るけれど
無意識に書いたその言葉に自分の気持ちを再確認させられてしまい拭ってこぼれないように耐えていた涙がノートにこぼれ落ちる。
1度泣いていることを自覚してしまったらもう止まらなくて机に突っ伏して声を抑えて泣く。
出来れば会いたくなかった。
忘れかけていたはずだった気持ちがまた顔を出した。
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カシューナッツ(プロフ) - はりやっこさん» ありがとうございます!ジュンギュとの純愛系を書きたかったのに意外と重ためになってしまいました笑 これからも更新頑張ります! (2023年2月2日 23時) (レス) id: 52bb3a2b13 (このIDを非表示/違反報告)
はりやっこ(プロフ) - ずっとジュンギュのお話を読みたかったので凄く嬉しいです!読むたびに、ドキドキしっぱなしです〜!続きも楽しみにしてます(o^^o) (2023年1月31日 22時) (レス) @page48 id: 53d6058391 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カシューナッツ | 作成日時:2022年10月29日 18時