信じる心は知っている。

No.19☆ ページ20

やっと離された私はまだ少し熱い頬を隠すように俯いた。鼻にはシトラスの香りが残る。もう少し、あのままが良かった…。いやいや、なに言ってんの？！私！

上「急に触ったりして、悪かった」

思わず顔を上げると、上杉君は目の端を赤く染めていた。急いで席に着いた。

そのまま授業を終え、送る、と言ってくれた上杉君の申し出を断り、上杉君が帰っていくのを見送り、秀明の廊下にある自販機に向かった。そこで１番安い紅茶を買い、飲みながら玄関に向かった。コンビニのチョコシューが食べたいと思い、買おうかと迷っている内に玄関に着いた。

そこには案の定、KZが。

居ると思ったよ。

気にせず帰ろうとすると、

若「おい、どこ行く気だよ」

開口１番、ケンカ腰で話しかけられた。

そんなもん、家に決まってるでしょ。

彩「すみません、急いでいるので」

脇を通り抜けようとすると、翼にガチッと手首を捕まれた。

彩「何するんですか？」

そばを通りかかった通行人はしっかり一部始終を見ている。ヒソヒソと会話しながら通る通行人を見ながら考えた。

明日、私の噂か皆の噂か、多いのはどっちかな？

そんな通行人をチラッと見て、黒木君は言った。

黒「ここじゃ目立ちすぎる、公園でも行こう」

小「おっけ」

いやいや、私の意思は？どうせ関係ないんだろう

移動する公園を決めるために会話に参加した翼を見て、甘いな、と思う。捕虜から目を離すなんて、翼らしくない。

……まあ、関係ないけど。

グルッと手首を回転させ、翼の手を振り払う。そのままダッシュした。

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