参話 ページ3
押し入れの中は真っ暗で、暑さを感じた。
私は両手を重ね合わせて、目をギュっと閉ざした。
お願い神様…！私を助けて…！死にたくないよ…！
今になって気づく、私はなんて最低な人間なんだ。
自分のことばかり、自分を生かしてくれた
お兄ちゃんとお姉ちゃんのことなんて考えてもいない。
そして子供の頃の私は、今の私よりよっぽど勇気があったと思う。
だめだって分かってる、見なければいいのに…。
自分の中で興味が勝ってしまった。
押し入れの襖をほんの少しだけ、開けてしまった。
(名前)「―――――っ！ひっ！」
思わず出てしまった声を両手で塞ぐ。
瞳にうつってしまった光景に涙が頬を伝う。
襖の先の世界には、肉の塊が転がっていた。
襖の少しの隙間でも、むせ返るような鉄の臭いがする。
畳にはべったりとシミができている、異臭がする。
何も分からず涙を流しながら、そのシミに触れた。
今日は気味が悪いほどに美しくて、欠損がない月だった。
倒された襖から強い月明かりが部屋を照らした。
父の着物を着た化け物が、肉を喰らっていた。
そしてその肉の塊は――――お兄ちゃんとお姉ちゃんだった。
シミがついた着物を見て、2人だと分かった。
腕がちぎられ、膝から下が喰いちぎられ、頭がない。
破れた皮膚から、何かぐちょぐちょとしたものがのぞいていた。
体内からこみ上げてくる汚物を必死におさえた。
もう見ていられない。間違いだと思いたい。
それは、お兄ちゃんとお姉ちゃんじゃない。
喰い散らかしているのは、お父さんじゃない。
違う違う違う違う違う違う違う違う
違う違う違う違う違う違う違う違う
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
全てが違う、何もかもが間違っている。
全てが嫌だ、もう全部嫌いだ。
みんなで眠りについて、次の日をむかえる。
それが正解、それがあってる。
なのにどうして、私だけしかいないの？
ここにこのままいたら、私は可笑しくなってしまう。
化け物がまだそこにいるのに、かまわず襖を開けた。
化け物の鋭い瞳は私に向けられた。
逃げなきゃ…！殺される…！
家中を走って、ある場所を目指す。
肺が痛くて、足が痛くて、苦しい。
それでも私は足を止めずに、裏口まで走った。
外に出た、夏の生ぬるい空気を確かに体が感じとる。
隠れていた時の冷や汗、走った時の汗、
見たくないものを見てしまった時の涙。
その全てで顔がぐっしょりと濡れている。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
これを食べるといいでしょう！
おはぎ
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涼野紫乃(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます！一日一話の更新で進めていこうか…と考えています。コロナ気をつけます！まぁ引きこもりなので大丈夫そうですけど(＾ω＾) (2020年5月11日 10時) (
レス) id: 7af1ab1bb6 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 面白いです！コロナに気を付けて更新頑張ってください！！ (2020年5月11日 0時) (レス) id: 91d3028c1e (このIDを非表示/違反報告)
涼野紫乃(プロフ) - ろうろんさん» あ、ありがとうございます！リアルでもまた感想教えてね(´▽｀)そっちも頑張って〜！ (2020年5月10日 11時) (レス) id: 7af1ab1bb6 (このIDを非表示/違反報告)
ろうろん(プロフ) - おぉ！新しいの出しとる！これは見なアカンな！(/*´∀`)оﾌｧｲﾄｰ (2020年5月10日 11時) (レス) id: 37af50f85d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：涼野紫乃 | 作成日時：2020年5月10日 11時
