義勇さん好き集まれ！義勇さん短編集〜 第１弾

「月が綺麗ですね。」と言われたら… ページ44

義勇「外を見てみろ。」

突然そう言われて、何かあるのだろうか…と縁側に出てみる。

(名前)「わぁ…！」

夜空を飾る星たち、きっと並んでいる星は星座かな。

星たちよりも私の視線を釘付けにしたのは、

満ち輝く月だった。

月…そういえばと、昼の甘露寺ちゃんとの会話を思い出した。

『月が綺麗ですね』

貴方を愛しています…か。

ロマンチックで今の状況にもすごく合ってる。

けど…私にそれを言う勇気なんてない。

この想いはずっと胸の奥底に閉じ込めてしまおう。

それでい、それで…いい。

それでいいの？

自分でも分からない、苦しい…。

義勇「月が…綺麗だな。」

静寂に響く私の好きな深みのある低い声。

月は綺麗だ、でも冨岡さんが見ているのは月じゃない

…私だ。

涙が出るように胸の奥底にある思いが高ぶって、

ふわふわとした気分になる。

ど、どうこたえるんだっけ…!?

「はい」そうこたえたいのに、相応しい答えが見つからない。

(名前)「わ、私も綺麗だと思います！

　 …あ、えっと。私も冨岡さんのこと好きです…。」

あぁ、ぐちゃぐちゃになってしまった。

顔を真っ赤にし、俯いたまま黙り込む私を

クスリと優しく笑う冨岡さん。

義勇「如月、お前も俺と同じ気持ちでよかった。

　 改めて言おう、如月…お前が好きだ。」

手を引かれ、冨岡さんの腕の中にいる私。

大きな体に包みこまれる、温かい…。

私も大きな背に腕を回し、ギュっと抱きしめた。

(名前)「私、今幸せです。これ、夢じゃないですよね？」

ついつい疑った。

もしかしたら夢で覚めたら

私と義勇さんの関係は前と何も変わらないんじゃないかって。

義勇「現実だ。

　 夢だと思うのならもっと強く抱きしめてやろう。」

私を包みこむ冨岡さんの力が強まった、

ちょっと苦しいってぐらいに。

そのたびにこの幸せは現実なんだと理解する。

(名前)「クシュン！」

寒さに震える体は耐えられなくなったようで、

私はクシャミをしてしまった。

義勇「今日は冷えるな、これを使うといい。」

「バサっ」

自分が着ていた半々柄の羽織を私に着せる。

(名前)「あ、ありがとうございます…。」

まだ冨岡さんの体温が残る羽織は、

まるで冨岡さんに抱きしめてくれているように思えた。

どうしてかな、寒かったはずなのに

だんだんと暑くなってきちゃった。

義勇「クシュ。」

小さくクシャミをしたのは隣にいた冨岡さん。

やっぱり冨岡さんも寒いんじゃ…。

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