義勇さん好き集まれ！義勇さん短編集〜 第１弾

「月が綺麗ですね。」と言われたら… ページ42

甘露寺「(名前)ちゃん、そろそろ行きましょう！

　 今日は2人で頑張りましょうね！」

さっき甘露寺ちゃんの屋敷に遊びに来ていた、

と言ったけど今日は合同任務があるからというのが本当の理由だ。

日輪刀を持って、立ち上がった甘露寺ちゃんは

まだ座っている私の手をぐいぐいと引っ張った。

うん、切り替えていこう…！

私は大きく息を吸って吐いて、

肺に酸素を取り込み気持ちを切り替えた。


「この男かい？いや、知らないね。」

(名前)「そうですか、ありがとうございました。」

今日の任務はとある鬼についての調査だ。

その鬼は普段は人間として生活をし、

好んで女性を食べるそうだ。

そのため、この辺りでは女性の失踪が多い。

送られた鬼殺隊員も誰一人として帰ってきていない。

きっと…、いや想像したくもない。

普段暮らしている日常に鬼という化け物が潜んでいる

と考えるだけで、恐怖と怒りの感情がわいてくる。

甘露寺「(名前)ちゃん、気持ちはわかるわ。

　 でも今は冷静に任務に取り組みましょう。」

甘露寺ちゃんは私の強く握りしめた拳に気づいたのか、

いつもより真剣な表情を浮かべている。

(名前)「うん、ごめん。ちょっと…感情的になりすぎた。」

それから私たちは調査を続け、少しだけだが鬼にちかづけた。

鬼の名は童磨といった。

どんな奴かはまだ分からないけど

人を食らっている以上、殺す以外の選択肢はない。

甘露寺「今日はもう終わりましょう。

　 …そろそろ冨岡さんも帰るころだと思うの！」

ニコっと笑みを浮かべる甘露寺ちゃんに、

私は「うん」と頬を赤く染めながら小さな声でこたえた。

―in自分の屋敷―

屋敷に着いて、今日の調査のことをまとめた。

明日あたりにでも他の柱の人たちやお館様に報告しよう。

屋敷に帰っても、私の心は休まることを知らなかった。

(名前)「疲れたな…。」

私は畳に手をついて、肩の力をおとした。

(名前)「ん？なんだこれ。…!!」

私が手を置いたところには、この前の

合同任務で怪我をした私に冨岡さんが

止血と言って貸してくれたハンカチだった。

屋敷に帰ってからちゃんと洗ったので

血は落ちたけど、返すのをすっかり忘れていた。

鮮やかな紺色のハンカチはまるで冨岡さんみたいだ。

ずっと持っていたい、なんて気持ち悪いことを思ってしまう。

きっと返ってこないことにことに疑問を抱いているかも

しれないし、早く返してほしいかもしれない…。

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