義勇さん好き集まれ！義勇さん短編集〜 第１弾

10月31日に一緒に過ごしてみたら… ページ18

月曜日に提出となっている数学のプリントに

ペンを走らせながらも、私は変わらず緊張していた。

そういえば義勇くんの部屋とか行くのも久しぶりだな。

前に一度だけ、数学が苦手な私は数学の得意な

義勇くんに教えてもらおうと部屋に入れてもらったことがある。

でもそれは付き合う前の話、

付き合ってからは今日が初めてになるかもしれない。

そんなことを考えているせいか…気づかなかった。

義勇「問３、そこの解答違うぞ。」

耳元で聞こえる義勇くんの落ち着いた低い声。

(名前)「わっ！びっ…くりした〜！」

私がまだふわふわとした感覚が残っている片耳を

押さえながら、「教えてください。」と頼んだ。

義勇「それはいいがあれ、着てみないか。」

あれとはいったい…と困惑する私の頭。

高校生にして記憶が薄れるって私、大丈夫かな。

義勇「仮装だ、さっき買っただろう。

　 せっかくハロウィン、だしな。」

そう言っている義勇くんの声色はどこか

嬉しそうで、遠足に行く前の子供のようになっていた。

きっとイベントごとにふれてこなかったから、

そうとう楽しみなんだろうな…。

(名前)「うん、いいよ！」

私がそう言うと、義勇くんは気を使って仮装を持ち部屋を出た。

そんな優しいところが好きだな、と思いながら私も仮装に着替えた。

義勇「入ってもいいか？」

お互いの仮装を知らない私たちは、

やっぱりどこかドキドキとした気持ちがあったと思う。

「ガチャリ」

ドアが開いた先には、ヴァンパイア姿の義勇くんがいた。

声も出ない、それほどに彼の姿に見惚れていた。

義勇「それは…魔女か。よく似合ってるぞ。」

可愛いのにちょっぴりにリアルな私の仮装を

不思議そうに見つめてみては触ったりする義勇くん。

(名前)「義勇くんも、なんか本物みたいでカッコイイ…。」

私がおしゃべりぬいぐるみかのように

ぼろぼろと本音をこぼすと、「そうか。」と

義勇くんは赤く染めながら言った。

(名前)「ご飯、冷めちゃうし食べよっか！」

私が食器を出したりお皿によそったりしていると、

義勇くんはそれを運んで机に並べてくれた。

ちなみにハロウィンということで、

かぼちゃの煮物も作ってみた。

義勇くんは和食が好きだから、

いつか作れないかと考えていたものの一つだ。

義勇「……美味いな。」

ヴァンパイアの仮装なのに和食を食べている

義勇くんが可愛くてちょっぴり面白くて、

そうだね、と微笑みながら言った。

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