ナカノヒトゲノムでテーマにそって短編集！ なんとなんとの第２弾

カイコク編 ページ6

❤

カイコク「よし、着替えた。(貴方)、行くでぇ。」

いつもの着物を着て、部屋を出ようとするカイさん。

(貴方)「待って。」

私は自分よりそれなりに身長のある彼に

近づいて、着物をピシっと伸ばす。

(貴方)「たるんでた。」

するとカイさんは笑みを浮かべる。

カイコク「なんか夫婦みたいでぇ。」

(貴方)「ここから生きて出られたら

　 ちゃんと結婚式あげよーねー。」

「夫婦」その言葉がとても恥ずかしくて、

私は適当にはぐらかしてしまう。

結婚式、指輪、ウェディングドレス…

と想像をしてわぁーとかき消した。

―in食堂―

いつものメニューを選んで、

カイさんの隣に座ろうとした。

が…。

パカ「(貴方)様、ちょっとお時間いいですか。」

座ろうと椅子を引いたところで、

私たちをここに誘拐してきた犯人であるパカが現れた。

カイさんは特にパカのことを嫌っているような

様子なので、パカをキっと睨みつける。

パカ「おやおや、ようがあるのは(貴方)様であり

　 貴方ではございませんよ鬼ヶ崎様。」

全く煽りおって、このアルパカは…。

するとカイさんは笑顔を貼りつける。

カイコク「俺もお前になんざようはねぇよ。」

そう言って、まだ手をつけていない魚に箸を入れた。

―in廊下―

(貴方)「で、何？なんか悪いことしたっけ私。」

本当に見覚えがないのだけど、

何かやらかしたから呼ばれてるんだろう。

いやパカ、学校の先生かよっ！

パカ「いいえ、何もしてません。

　 貴方にこれをと思いまして…。」

パカはどこからだしたのか分からない

小さな箱を渡してきた。

可愛らしい赤色の箱をパカっと開けてみる。

(貴方)「ごめん、ちょっとよく分かんない。」

小さな箱の中身は……小さなアイスケーキ。

パカ「(貴方)様、今日誕生日でしたよね。

　 わたくしからのささやかなプレゼントでございます。」

ツッコミたいことが2つある。

その1、なんで私の誕生日知ってんの？(教えてない)

その2、なんでケーキなの？(女子かっ！)

(貴方)「あの、何でケーキ？」

パカ「前にデザートででたプリンを

　 美味しそうに食べていたので

　 有名店から買ってまいりました。」

なんだろう、嬉しいのに

喜べない謎の気持ちは…。

(貴方)「あの、ありがとう。」

私がそう言うとパカは「はい、美味しいですよ。」と

言い残して廊下の突き当りの辺で見えなくなった。

………、意外に優しいな誘拐犯！

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