愚図で泥棒で最低なので、今日も悪役を演じます

悪役　肆拾参 ページ45

鬼雷匠side

俺は胡蝶さんより早くに宿を出て、町の中を歩いた

師範は、鬼の気配を探す時は全ての神経に集中しろと言っていた

俺は眼を瞑って、一つ一つの神経を集中させながら気配を感じ取ろうとした

すると、一筋、凍るような気配を見つけた

目を開けて刀を抜き、俺は攻撃を受け止めた

「あ〜らら。見つかっちゃった」

刀を振り払い、俺は後ろに下がった

「氷の呼吸 弐の型 氷華天水！」

師範の鬼殺シの荒い技を、俺なりに計算して正確に殺せるようにした技

豪快に薙ぎ払うわけではないが、殺傷能力なら高い

力を集中させるからだ

師範はもともとの力が比じゃないから一振りで何体も殺せるが

俺の刀は鬼の右腕を斬っただけだった

「痛いじゃないのよ！」

さっきまでは暗くてよく見えなかったが、鬼は美しい女性だった

だが、鬼であることには、変わりない

「氷の呼吸 参の型 氷ノ礫・霰」

俺は高く跳んで鬼に向けて突きを放った

「ちょっと、調子乗り過ぎよ？」

ふわっと体が軽くなって、俺は空中に投げ出されていた

なんとか体勢を立て直し、もう一度鬼と向かい合った

「ねえ、アンタ柱でしょ

柱なのにそんな弱いの？」

クスクスと笑う鬼に対し、俺は怒りを抑えていた

弱くないさ

師範よりは弱いが、、、

「言っとくが、俺はまだ本気をだしていないぞ」

「はあ？どういうこ、、、と、、、？」

俺は次の瞬間鬼の頸を斬っていた

「氷の呼吸 伍の型 氷月死賛歌」

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