のりかえ - 小柳 ページ36
……さっき乗り換えた終電が鉄橋を渡る。カタンカタン、と高めの音が響く。
規則的で不規則なその音は、まるで私の生活のようで。耐えかねて、つい先ほど感情に任せて家を出たことは、一切後悔していなかった。
「いい加減にしてよ！！毎日毎日、文句ばっかり！
仕事して帰ってきて、疲れてるだろうからと思って何も言わなかったら調子乗って！
何かに文句つけなきゃ生きていけないの！？」
「お前に俺の何がわかるんだよ！！」
「……わかるわけないじゃん」
「あ？」
「あんたのことなんか、私がわかるわけないでしょ！」
そう言い残して、近くにあった財布とスマホだけをひっ掴み、私はそのまま家を出た。
こんな夜中に行く先なんて当然なくて。誰かの家に泊まらせてもらおうかと、トーク履歴を遡った。誰かいい人いないかな……
「……あ」
いた。
車掌のアナウンスが流れ、ドアが開く。降りる人はほとんどいなかった。
階段を上がり、改札へ向かう。普段なら人が邪魔で2m先も見えないような駅だが、この時間は疲れ切った駅員の様子も、改札の向こう側に立つ彼の姿も確認できた。
「……おまたせ」
「久し振り。変わってねえなw」
「小柳は……髪伸びた？」
「ああ、大分伸びたな」
小柳……下の名前は何だったかな、まあいい。
彼は高校からの友達だ。当時部活が一緒で、一時期バンドを組んでたときもあったっけ。そのときから小柳はボーカルで、私はギターだった。
彼が言うには今もまだバンドは続けてて、プラスYouTuberもやっているらしい。私は少し驚いた。YouTuber(生計を立てれるほど稼げる人)なんて夢物語で、自分の知り合いにそれがいるなんて到底思ってなかったから。
バンドマンとして活躍していることは知っていた。だって去年の12ヶ月ワンマンも、他のイベントも何度か行ったから。その旨を伝えると「なんで教えてくれんかったん！？」となかなかの声量で驚かれた。髪だけじゃなく声も伸びてるわ。
そんな話をしているうちに彼の家に到着。私は遠慮もそこそこに上がらせてもらった。
「へえ、結構綺麗じゃん」
「だろ？これでもちょっと散らかってる方だけど」
「本当に？見え張ってない？w」
「張るかんなもんw」
「一人暮らしの男性の家って、もっと散らかってるイメージがあったんだけどな」と言いながらソファーに座る。缶ビールを手にした小柳も横にどかっと座った。
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RiA(プロフ) - さささ。さん» わあぁありがとうございます〜！そう言っていただけると励みになります！ (2019年4月10日 22時) (
レス) id: 03fac5b4f8 (このIDを非表示/違反報告)
さささ。(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます〜！切ないお話も明るいお話もとても素敵です！ これからも楽しみにしてます！ (2019年4月10日 22時) (レス) id: 1d0b48d693 (このIDを非表示/違反報告)
RiA(プロフ) - りさん» こちらこそありがとうございます〜！ワガママなんてとんでもない！こちらこそ推しとか言いながら本数少なくて申し訳ないです… とりあえず次のお話はともやんで書かせていただきますね！ (2019年4月6日 21時) (レス) id: 03fac5b4f8 (このIDを非表示/違反報告)
り - コメント失礼します…すごく好きなお話ばっかりで何度も読み返してしまう…！！ともやん推しなのに推し以外のお話もとっても素敵できゅんきゅんします。ありがとうございます…ともやんとのお話がもっと読みたいなぁだなんてワガママでしょうか…？ (2019年4月6日 0時) (レス) id: 88a87d53f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：RiA | 作成日時：2019年3月12日 18時
