愛してるとは言えないから - にっち ページ2
今日もまた、君は俺の背中で眠ってしまった。
「あんまり男を信用しすぎない方がいいよ」と忠告した直後のことだ。本当に聞いてんのかな。
「にっち〜」
「はいはい、何?」
「……にっちの背中、おっきいね〜」
呼ばれたので返事をすれば、間延びした声が返ってきた。なんだ、酔っ払いの戯言か。
Aが結婚したのは、もう1年も前のこと。
高校で出会い、それ以来ずっと“仲のいい友人”として連絡を取っていたこともあって、彼女の結婚式にもお呼ばれした。
純白のドレスに身を包んだ彼女は、今まで見てきたどんなAよりも綺麗で。そのときやっと気付いたのだ。
ああ、俺、あいつのこと好きだったんだ、と。
「結婚生活、どう?」と聞けば「今はまだ、上手くやれてる」とさっき彼女は語った。“今はまだ”だ。
それは「(前に比べれば)今はまだ〜」なのか、それとも「〜上手くやれてる(これから先はわかんないけど)」なのか。どちらにせよ、順風満帆というわけではないようだ。
Aとは定期的に会っている。それも彼女が結婚してから。別に手を出してるわけじゃないから、浮気ではないんだけど……旦那はどう思ってるんだろう。
それとも、彼女は伝えてないんだろうか。一緒に飲む相手が男だということを。
「……どっちにしてもだよなぁ」
俺がどんな思いで今も君を背負って歩いてるか。首元にかかる吐息に、背中に広がる体温に酷く意識を向けてしまう。
「……いっそ、全部夢ならよかったのに」
この状況も。
最低な考えが、一瞬浮かんで消えたことも。
何も知らない君は、後ろですうすうと規則正しい寝息を立てていた。
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RiA(プロフ) - さささ。さん» わあぁありがとうございます〜!そう言っていただけると励みになります! (2019年4月10日 22時) (レス) id: 03fac5b4f8 (このIDを非表示/違反報告)
さささ。(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます〜!切ないお話も明るいお話もとても素敵です! これからも楽しみにしてます! (2019年4月10日 22時) (レス) id: 1d0b48d693 (このIDを非表示/違反報告)
RiA(プロフ) - りさん» こちらこそありがとうございます〜!ワガママなんてとんでもない!こちらこそ推しとか言いながら本数少なくて申し訳ないです… とりあえず次のお話はともやんで書かせていただきますね! (2019年4月6日 21時) (レス) id: 03fac5b4f8 (このIDを非表示/違反報告)
り - コメント失礼します…すごく好きなお話ばっかりで何度も読み返してしまう…!!ともやん推しなのに推し以外のお話もとっても素敵できゅんきゅんします。ありがとうございます…ともやんとのお話がもっと読みたいなぁだなんてワガママでしょうか…? (2019年4月6日 0時) (レス) id: 88a87d53f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:RiA | 作成日時:2019年3月12日 18時