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「同じクラスだね！」
『あ…』
「…それも席も隣じゃん！」
『え、』
思わず隣の机に置いてある紙を見る。
学年とクラス、出席番号が書いてある紙。
その下に書いてあるのは、
"福田佑亮"という4文字。
「僕ね、福田佑亮！」
にっこりと人懐っこい笑みを浮かべた彼は私に向かって手を伸ばしてくる。
その後ろには、目を鋭くさせたーーー…女子の集団。
ーーー…私は眉間にしわを寄せて顔を背けた。
どんな顔をしているのな。
気になったけれど、想像はついていた。
多分怒っているか不機嫌になっているか。
せっかく話しかけてあげたのにこんな態度取られたら誰でも失礼な奴だと思う。
私に関わることもなくなるだろう。
「…ちょっと失礼じゃない？」
「ねー、常識ないっていうかさ〜」
「佑亮ー、関わることないよ」
聞こえるくらいの音量で話し出す女子。
ぶっちゃけ言いたいことあるなら直接言えばいいのに、陰でしか言えないような子達だから気になんてならなかった。
周りもヒソヒソと話し出す。
別にそれでいい。
…もう慣れたから。
「ふーん、Aちゃんっていうんだ？いい名前だね！」
……ーーーさっきまでの周りの会話など聞いていなかったかのような声のトーンで福田佑亮は私の名前を呼んだ。
驚いて顔を上げる。
彼の目線は私の方を向いており、あ！ちゃんと見てくれた！となんだか嬉しそうにしていた。
まさか普通に話しかけられるなんて思っていなかった。
私は完璧にこの人の挨拶を無視した人間なのに、まるでそんなことをされていなかったかのような振る舞いをする福田佑亮。
「これからよろしくね！」
それに変わらない笑顔で私のことを見てくる。
…本当に、変な人。
この時はそれぐらいしか思わなかった。
でもまさかこの人が私の生活を大きく変えることになるなんて、この時は考えてもいなかった。
＊
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作者名：たろたろ。 | 作成日時：2016年7月19日 19時
