無気力少女とゆーすけくん。 (ページ35)

今日:8 hit、昨日:1 hit、合計:48,503 hit

7-6 ページ35

＊

国語になるとここまで弱くなるなんて思っていなかった。

それ以前に日本人で今まで16、7年生きてきて枕草子の漢字読めないなんて。

中学生で習った気がするんだけど。

『……放課後、テスト期間中みっちり教えるから』

…これは本気でやんなきゃやばい。

焦っている私とは対照的に、佑亮くんははーい！と元気に笑った。

笑ってる場合じゃないから。

君かなりやばいから。

「ゆーすけ！行くぞー」

「………あ！」

ドアを開けて入ってきたのは佑亮くんの友人の村田祐基くんだった。

始業式の日に佑亮くんと一緒にいた男子。

最近そのことに気がついた。

そして佑亮くんは思い出したかのように声を上げる。

…用事があったらしい。

「忘れてたのかよー、ほーらいこ？」

「あ、うん！」

佑亮くんは私を見ると、ごめんね！と平謝りをしてまた明日！と村田くんの元へと向かっていった。

佑亮くんが村田くんの元へと向かっている間、村田くんとバッチリ目があった。

その瞬間、村田くんはニッコリ微笑んで私に手を振って、佑亮くんと帰っていった。

…本当に私の周りの環境がガラリと変わった。

まず佑亮くんの友達に挨拶されるようになったこと。

今手を振ってくれた村田くんとか、同じクラスの吉野くんとか。

私のことを嫌がることなく、ほんと友達のように。
類は友を呼ぶってこのことなのかなってなんとなく思った。

そして絡んできた女子たちは私に対して何も言わなくなった。

それはなぜだかよくわからないけれど、私としてはめんどくさいことがなくなったので心底うれしい。

今までならこういったことはなかった。

勉強を教えてあげたり、また明日と声をかけてくれたり、友達の友達に手を振られたり。

今まで感じたことのない、心にできたあたたかい何か。

なんだか不思議な感情がぐるぐると交わっているような気がした。

＊