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いつもと同じ朝。
起きてから身支度を整え、朝ごはんとお弁当を作って、用意を済ませてから家を出た。
昨日。
私は福田佑亮と友達になった。
あの後普通にご飯を食べて、佑亮くんの話を一方的に聞いてから教室に戻った。
午後は体育でそれも5限で終了だったため、佑亮くんとはお昼の後は全く話さなかった。
リュックサックを背負って通学路を歩いていてふと思う。
…なんで佑亮くんは私と友達になりたかったんだろう。
顔も体型も普通。性格なんてかなりひん曲がっていると自分でも自覚しているし、ましてや嫌われるタイプの人物だ。
そんな嫌われ者の私とどうして友達になろうとしたのだろう。
もしかしてあれかな。
俺は嫌われ者のヤツにも優しいぜアピール的な?
それとも自分に興味がない人がいるのが嫌だからとか?
…でもどれも当てはまらない気がした。
あの人はそういった世間体を考えるような人じゃない。
そこまで頭も回らないと思うし、たぶん本物の天然お人好しなんだと思う。
私のことを気にしてくれるような優しい心の持ち主なんだろう。
そう考えているうちに、いつの間にか教室の前。
いつも通り扉を開けて前を見ると、バッチリと噂の佑亮くんと目があった。
学校に来るのはやいな。
いつもなら遅刻ギリギリぐらいに教室に入るのに。
珍しい、と思いながらいつも通り自分の席に向かおうとする。
「Aちゃん!おーはよ!」
目線を話していた男子から私の方へ向けた佑亮くんはとてもいい笑顔で手を振って挨拶してきた。
挨拶はしてくるだろうとは思っていたけれど、まさか大きい声で手まで振ってくるとは思わなかった。
いつもは佑亮くんが荷物を置きに席に来た時に挨拶をするから声だってそこまで大きくはない。
でも今は窓側の後ろにある自分の席にいる佑亮くん。
ドアの前にいる私に挨拶するならかなり大きい声を出さなきゃならない。
…それが私に届いたんだから、クラスのみんな聞こえてるのはもうわかりきったことだ。
「…なぁ、いつも返してもらってないのにそこまでしなくても…」
「俺が挨拶したいの!おはよ〜!」
佑亮くんの近くにいた男子が気まずそうに佑亮くんに言った。
それを気にすることもなく、佑亮くんは私に手を振る。
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作者名:たろたろ。 | 作成日時:2016年7月19日 19時