無気力少女とゆーすけくん。 (ページ29)

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入学してからずっと私に1日も欠かさずに話しかけてきたのは福田佑亮だけだった。

私は無意識にそれが嬉しいと感じていたのだ。

それが私の拒否でいつもされている挨拶……ーーそして笑顔がなくなってしまう方が嫌だと今では思っている。

私は、それを手放したくない。

『いいよ』

「え？」

『友達になろ、福田佑亮』

これから先、どうなるかなんてわからない。

今まで閉ざしてきた心を急に開くなんて勇気がいる。

でも福田佑亮はその心にいつの間にか入ってきていた。

…この人は裏切らない、とそう思った。

「なんでフルネームなの！」

『や、なんとなく』

「佑亮って呼んでよ！」

『…呼び捨てはちょっと無理』

「えぇ！」

『それじゃあ、ゆーすけくんって呼ぶね』

そう言ってゆーすけくんに微笑む。

それを見た佑亮くんは嬉しそうに笑った。

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そして私は、自分の扉の鍵を開けた。

＊