無気力少女とゆーすけくん。 (ページ20)

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…まさか拓弥がそんなことを言うなんて思っていなかった。

いつもそういうことには無関心な拓弥だから。

拓弥は1人でいることが多い。

…なんというか、あまり人と一緒にいるところを見たことはないのだ。

でも仲の良い友人がいることも知っているし、今日も体育の時間に見かけたから普通に人気はあるんだと思う。

ただ友人が多いというわけではないらしい。

狭く、深くな友人の作り方なのだろう。

だからこそ拓弥は信用した相手にはとことん尽くすのだ。自分のことよりも相手のことを優先に考えられるような優しい人。

だから他の人の噂とか、悪口とかを鵜呑みにせずにその相手に接している。

そんな拓弥が他の人の私の噂を言うなんて。

「…どうした？」

『あ、いや、なんでもない…』

黙り込んだ私に拓弥が不思議そうに声をかける。

首を振ってそう伝えると、ならいいけど。といつもの声のトーンで返ってきた。

…それにしても他クラスにまでその話が流れてるなんて考えていなかった。

それだけ福田佑亮は他のクラスの人からも好かれる人なんだろう。

…なんか、わからなくないけど。

「んで、どーなの？」

『なにが？』

「実際のところ、仲いーの？」

『…あっちが一方的に話しかけてくる』

「あー、なんとなくそんな気がしてたわ」

『………』

「…仲良くなろうとは思わない？」

拓弥は少し控えめに声をかけてきた。

……私が人と話さない理由、知ってるくせに。

拓弥の背中に向けて軽く睨んでも、拓弥には見えていない。

…これも拓弥への八つ当たりだということは分かっている。

けれどどうしても仲良くなろうとは思えないのだ。

…人なんて実際のところ裏切ることが多いんだから。

…拓弥が心配しているのはわかっている。

…拓弥にいろいろ迷惑かけているのも分かっている。

でも私にとって安心して話せる相手なんて拓弥ぐらいだから。

『…私は拓弥がいればそれでいいよ』

そう小さく呟いて、拓弥の背中に頭をつけた。

拓弥には聞こえなかったらしく、なんの反応も示さなかった。

＊