【シャドウサイド】宵闇に咲く、梅の花【※一話だけ】 (ページ5)

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宵闇　1－4 ページ5

月夜はさくら元町に来たばっかりなので、空から街の様子を見回る。

月夜「30年前と比べたら、変わったもんやなぁ。『彼奴』はもうウチらのこと覚えてないかもしれんけど、元気にしとるかな。」

移動しながら見回ると、月夜はある人物を見つける。

その人物はどこか既視感を感じる。

月夜「あの男の子、『彼奴』に似てるな。彼奴ナツメのこと追ってるみたいやな。」

『彼奴』に似ている男の子の先には、ナツメがいる。

もし関係者だとしたら、隠れながらナツメのことを追うのに違和感がある。

月夜「ん?彼奴エルダを持っとる。なんでや?
　 …まあ、人間に化けて事情を説明してもらうか」

月夜は人気のない所に着くと、人間の姿に変える。

足早に男の子の方へ向かえば、ナツメは神社のような所に向かっていることがわかる。

いや神社というより、正確に言えば、神社付近にある倉庫のような所に向かっている。

足の速度を速め、彼のところに話しかける。

月夜「ちょっと」

?「え…?うわあっ!な、なんですか?」

ちょっと話しかけただけでも驚くことに、月夜は彼について察した。

嗚呼、此奴はすごくビビりだと。

幽霊やら妖怪やらには弱い人間だと。

月夜「ウチ、さくら第二中学校の生徒で、あの天野ナツメの友達です。あんた、なんでつきまとうようにナツメの後ろに隠れとるん?」

?「え?姉ちゃんの友達なんですか?」

彼が「姉ちゃん」ということは、彼はナツメの弟。

身長からすれば、まだ小学生のようだ。

月夜「あんた、ナツメの弟さんってことは、名前は何?」

ケースケ「あ、天野ケースケ…です」

ふーん…『彼奴』がつけた名前だとしたら、やっぱり「普通」なのは相変わらずなんやね。

月夜「ケースケ君、なんで姉のナツメを追ってるん」

ケースケ「!聞いてください!もしかしたら姉ちゃんが、怪しい宗教団体に入るかもしれないんです!姉ちゃんを助けて下さい!」

月夜「…は?」

意外な発言をされて、月夜はポカンとする。

ナツメが宗教団体?一体どういうことなのだろうか

ケースケの証言では

「最近平日でも帰りが遅くなったりする」

「彼氏ができたのではないか」

「休日の殆どが出かけることが多い」

とのこと。

まったく宗教には関係ないことだが、一般人からしたら確かに、ナツメの行動に違和感を感じる。