【シャドウサイド】宵闇に咲く、梅の花【※一話だけ】 (ページ12)

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宵闇　1－11 ページ12

アキノリ「逃げた?」

月夜「いや、何方かといえば向こうが押していたわ。」

ジバニャン「ああ、でも妙だな…。何故引いたニャン?」

戦闘が不向きになると、ジバニャンはライトサイドの姿に戻る。

月夜「(もしかして、何か心当たりのようなことがあったんけ?)」

ナツメ「大丈夫ですか?」

ミッチー「大丈夫です!」

ナツメ「おめーじゃねえ。」

その場ですくんでいた男に対して、ナツメは安否の確認をした。

何故か急にミッチーが割り込んできていたが。

だが、男の応えはというと

「チッ…訳わかんねえ…」

普通なら感謝の言葉を並べるのだが、男は逆ギレしていた。

勿論、ナツメ達の護衛を任せることとなった月夜は

男が言っていたことを、聞き逃さなかった。

月夜「あら、私らは助けたのに『ありがとう』のあの字も言えんのんですか?」

「ムカつくんだよ!そんなヒーローぶってるやつ。それに、誰も助けてくれなんて言ってねえし!」

月夜「ふーん…。『お前』、それでも人間か…?」

「はっ…?」

男が月夜の方に振り向くと、月夜はまるでゴミを見るような目で男を見ていた。

よく顔を見てみると、青筋もうっすらとあらわになっている。

月夜「もし私らが此処にいなかったら、『お前』は亡霊番長に殺されるところやったんやぞ?こんだけ助けておいて感謝の言葉も言えんなんて、どんな風に生きていたら『お前』みたいな屑が育つんや?

いや、『お前』のことをゴミだと捉えるゴミが可哀想やわ。

なら、この際やからはっきり言うたるわ。

『ありがとう』も言えない屑は、他人に挨拶も出来ねえ野郎と同じなんだよ、このガキ!!」

「ヒィッ!!」

男は、月夜がキレた姿に怖気づいてしまいそのまま早足で逃げていった。

あんなに清楚な見た目なのに、怒ると暴力団の様に怖い姿というのは

度が過ぎた意外性だ。

トウマ「ナツメ、あれって梅澤さんの怒った姿だよね?」

ナツメ「いや、私月夜ちゃんがあんな風に怒るのは初めて見た」

アキノリ「ある意味、シャドウサイドって感じだな…」

月夜「何か言ったけ?子豚??」

アキノリ「子豚!?俺、巻き添え食らってるし!」

ウィスパー「月夜さんには、あまり怒らせるようなことは避けた方がいいでウィス。」

ジバニャン「(昔と変わんねえな、月夜の奴。)」

月夜の本性を知らないナツメ達と、本性を知っている妖怪達。

だが、すると後ろから聞き覚えのある声が微かに聞こえた。