金剛 2ー5 ページ5
キルア「っ…！！」
泣き止むまでAのことを慰めていると、キルアは急に猛スピードで廊下を走った。
一緒に追いかけてみると、そこには誰もいなかった。
廊下に設置された観葉植物に銀色の丸い何かを見つける。
だけどキルアは何事もなかったかのような笑顔でゴンとAに振り向いた。
ゴン「キルア、どうしたの？」
キルア「なんでも。さ、Aも元気になったみたいだし溶岩茶飲みに行こうぜ。」
本当に何事もなかったのだろうか。
キルアが何かを察知して走ったのであれば、キルアに何か用があって誰かがいたのではないかと思う。
A「なに……？」
誰かに見られたような感じがして、二人の後ろについていたAは後ろの廊下に振り向くが誰もいなかった。
その場にいると何だか気味悪く感じて、早足で二人の元へと走っていく。
飛行船内の飲食コーナーには他の受験者も来ていた。
Aは水分不足になるわけにもいかないから、普通の緑茶で喉を潤す。
茶の苦みが奥から感じられるが、意外にも嫌な気分にはならなくて
泣き止んだ目も少し戻ったような気がする。
テーブルの席ではAの隣にゴンがいて、手前にキルアがいる状態だ。
キルアは頼んでいた溶岩茶を飲む素振りがなく、何かを横目にじっとしているだけだ。
ゴン「キルア、何か変だよ？」
キルア「…別に。」
ゴン「ねえ、試験っていくつくらいあるのかな？」
A「わかんないね、でも２日で終わる様な感じじゃないと思う。」
せっかくの自由行動なのに、どこか重苦しい空気だ。
やはり、空気を重くしたのはAの過去話を聞いたのが問題だったのだろうか。
A「キルア、もしかして怒ってるの？」
キルア「お前のせいじゃないし、ゴンのせいでもないよ。」
いくら自分がある程度の魔術が使えるとはいえ、流石に相手の心を読めるほどの能力はAにはなかった。
「そこ、空いてる？」
気まずい雰囲気が続くなか、通りすがった受験者がキルアに声をかけた。
受験者は111番で黒髪をツインテールにまとめた成人女性だった。
女性の瞳にはキルアの姿が映っているみたいで、視線を一直線で向けているのを物語っている。
でもAはどこか嫌な予感がした。
A「(あの人…キルアの家系に憎悪を持ってる………？)」
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作者名：日依 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=sorairokopikku2
作成日時：2024年2月17日 13時
