【H×H】宝石の涙を流す (ページ10)

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金剛　1ー9 ページ10

ゴン「そんなこと言ってる場合じゃないよ！トンパさんどうしたらいいかな？」

彼はうーんと考え込んでいると、何かを思いついたようだ。

トンパ「あれだ、あの匂いだ！」

「え？」

トンパ「分岐点…右の穴からした甘い匂いだよ。おい、もしかしたら体力が回復するかもしれないぞ」

レオリオ「なんだと…？」

トンパ「どっかで嗅いだ匂い…あれはイヤシスギの匂いで間違いない。」

ゴン「イヤシスギ？」

トンパ「嗚呼、ハンターが森でへばった時に使う樹液だ。あの匂いを暫く嗅いでいると、一時的に体力を回復することができるんだ。」

ゴンは匂いの発現である『イヤシスギ』を知らないみたいだ。

いや、ずっと横で聞いていたAも知らなかった。

A「そんな都合の良い植物あったっけ…？」

クラピカ「ちょっと待て！罠だったらどうする。それにAの言う通り、私もそんな植物を聞いたことがないぞ。」

トンパ「確かにその可能性もある。だが、このまま置き去りにしていくなんて出来ないだろう。一か八かの賭けさ。」

クラピカ「だが……。」

トンパ「万年落第生…、俺が何で35回も落ちたか分かるかい？つまり、こういうお人好しだからさ」

トンパは肩に掛けて担いでいるレオリオを見ながらそう言っていた。

予想だが彼が35回受けても合格しないのは、このように人を助けているからだろうか。

ゴン「トンパさん…」

トンパ「なに、レオリオが回復したら直ぐ追いかける。必ず。」

レオリオ「悪いな…トンパ。ゴン、クラピカ、Aちゃん、俺に構うことは無え、先に行け。」

ゴンは心配だから、仲間を置いていくことに罪悪感を感じていた。

だが、レオリオが何度も説得し、トンパが先に行けと指示した結果

仕方なく行くことしか出来なかった。

ずっと無言で聞いていたキルアは、それを横目にしていると

ゴンは手持ちの釣り竿を使い、レオリオの鞄を取る。

ゴン「分かった、レオリオを頼むよ！」

トンパ「嗚呼…。」

そうしていると、そのまま彼ら二人は、匂いのある方向へと移動した。

残ってしまった数人は心配していて立ち止まっていたが、キルアはゴンに話しかける。

キルア「お前は行かないのか？」

ゴン「うん、レオリオが戻って来ないと…。ごめんクラピカ、俺様子見てくる。トンパさんはああは言ったけど、やっぱり心配だ」

クラピカ「一緒に行こう、時間ならいつでも取り戻せる。」