金剛 1ー48 ページ50
Aはスカートのポケットをガサガサと手繰ると、手にあるものを見つけた。
魔力の籠ったナイフ。
もう男の感情に構う必要なんてない。
そんなに心中がお望みなら殺してあげる。
まあ、師匠は魔力で限りない程度で治せるから、此奴だけ死ぬことになるけど。
これだけの屑っぷりなら良心は傷まない。
これで…これで奴を…………………………!!!!
.
.
シルキー「………ごめんな、さい………。」
ナイフの刃を男に向けて刺そうとしたその時、
魔女が口を開いた。
その場にいたAも男も、急に謝罪の言葉が出たことに目を丸くした。
魔女は眼の前にいる男に目線を向けると、濁っているが透明を保とうとする水晶玉のような瞳で語りかける。
シルキー「私…誰かを限定で好きになったことがないの…。愛されたいとかの気持ちも分からなかった。
私は…純度100の魔女、人間じゃないから…人間みたいに老いて死ぬこともなく、若いまま年を何年も重ねてた……。
魔女は親も親族も末裔の存在も知らない。罪を犯せば殺される…悪天候が続けば魔女を悪に仕立て上げていたことに疑問に感じた………【愛】ってなんだろうってね…。
でも、私が思うには、魔女だって人間だって皆愛したいって思うのは普通だし、誰かを特別に愛したいっていう気持ちも普通だと思う。
皆を笑顔にさせる魔女がいればと思って、魔法学校への寄付…そしてこの子達の相手………
それを続けると、私は誰か一人を愛したいことより、皆公平に愛するのが好きだと思った。
貴方は不満だっただろうけれど、不満を抱いたということは、それだけ私を好きでいてくれた………、勿論一人の女性として……ね。
残念だけど…私に好きな異性はいない。けれど、不平等なく……いじめもなく………皆が喜び、悲しみ、感情の共有ができて嬉しかった…、今も………怖いというよりも、想いを理解できずにいてごめんねって…………」
魔女は鮮血で濁った手を見つめた。
普通なら、怖気付いてしまうほどに禍々しいのになぜか美しく見えてしまう。
ああ、師匠は………本当に変わらない。
師匠は本当に狡い魔女だ。
「ふ、ふざけんなよ…。俺の気持ちを分かっているつもりなのか?大体俺が何者で、何をしてるのかも知らないくせに」
シルキー「ええ、勿論知らない。けれど、貴方が最初から…悪い人だとは思ってない。」
「!?」
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詠深ラルカ(プロフ) - 夢主ちゃんの設定がすごく好きです!更新楽しみにしてます! (8月30日 20時) (レス) id: 092754fdcc (このIDを非表示/違反報告)
日依(プロフ) - 誤字があったんですね、ごめんなさい!(再コメント) (8月15日 19時) (レス) id: 08b2d47db3 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 日本語が所々おかしいです (8月11日 13時) (レス) @page8 id: d3f0b9640f (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑。(プロフ) - 日依さん» 理解してもらえて嬉しいです。 (8月4日 11時) (レス) id: c9d3637369 (このIDを非表示/違反報告)
日依(プロフ) - 了解です! (8月4日 11時) (レス) id: 08b2d47db3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日依 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=sorairokopikku2
作成日時:2023年6月19日 18時