【H×H】宝石の涙を流す (ページ36)

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金剛　1ー34 ページ36

困ったような表情を浮かべる彼に対し、メンチは自慢気に苔について説明した。

説明によると、これはヌメーレ湿原で数匹しか生息していないオオツノグマの角溶けからできたものらしい。

……ある意味苔ではなかった。

でもよくよく考えてみたら試験会場の更に奥まで移動し、そして無傷の状態で戻って来られるということは

それだけ、彼女にはハンターとしての技術や名誉でもある。

メンチ「誰が何と言おうと、試験の結果を変えるつもりはないわ。いいこと？私がこの試験で知りたかったのは、単なる外面の強さじゃない。あんた達に未知のものに挑戦する気概があるかどうかなのよ。」

彼女は受験者の料理が不味いから不合格にしたのではなく

自分達の行動力を試していたということだ。

そう考えてみると、ずっと『合格』という結果ばかり気にしていて

不合格になれば、思い通りの結果が起きず正のことばかり執着していた。

でもこれは、Aは【師匠】に教えられたことだったのに、いつしか忘れていたのだ。

A「(【師匠】の言葉にもあったことを忘れるだなんて…。私もまだまだだ。)」

有耶無耶とした感情が入り混じり、考え込んでいると頭上から機械の様な声が聞こえた。

「それにしてもメンチ君、合格者０とはちと厳し過ぎやせんか？」

A「(…！この声って…)」

聞いてみた感じ、普通の老人のような弱々しくも元気のある声だった。

そしてこの声色…、どこかで…いや、何度も聞いたことのある声だ。

上を見上げてみると、Xの文字が２つ並んだエンブレムのある飛行船がこちらに向かってきていた

あのエンブレムはハンター協会の勲章。

受験者達も不思議そうに見つめていたその時、

一人の老人が飛行船から降ってきた。

地面に着地した途端地面に旋風が吹き、周りは大きな円を描くような窪みが生じる。

メンチ「ご無沙汰してます、ネテロ会長。」

一度敬礼をすると、受験者達がざわざわと騒ぎ出す。

A「あの人ハンター協会会長でもあり、ハンター試験の最高責任者でもある人だ。」

ゴン「へえー偉い人なんだ。」

キルア「通り…でね。てかお前知ってたのか？」

A「ま、まあ有名な人だからね。」

ネテロ「まあ…責任者といっても、所詮裏方。こんな時の処理係みたいなもんじゃ。で、メンチ君」

はいっ、と緊張した声色に変化するメンチの声。

レオリオも、どうやら様子の変化に気づいたらしい。