【H×H】宝石の涙を流す (ページ32)

今日:82 hit、昨日:46 hit、合計:28,947 hit

金剛　1ー31 ページ32

ドスの利いた説教がようやく終わり、Aはメンチに寿司を差し出す。

メンチ「さて、寿司の方はどうかしら。」

興味津々な目でAの寿司を見下ろす。

豚の生姜焼きがあんなに美味しいと彼女が言うのだから、メンチはAに期待している。

鮮やかな赤いネタの寿司を選び、醤油に浸す。

口に入るほどの大きさだから、一口で噛んで食べた。

あれだけ、厳しい試験管なのだからこんな時でも油断大敵だ。

A「どうでしょうか…」

メンチ「…………惜しいわね。」

A「え？」

メンチ「美味しかったわ。だけど、時間かけすぎているからかシャリが冷えて少し固まってる。これだけ気をつけていたら合格になってたはずよ。」

A「そうなんですね、分かりました。時間の使いすぎの方も気をつけます。」

改めて考えてみたら、和食を作る職人達はとても繊細で比べ物にならないほどの達人だ。

手際よく調理し、客を美味しいと言わせられるのならば

彼女の言う通り、何十年ものの修行が必要なはずだ。

今回は、ハンター試験のことだけでなく、これからの生活にも生かせれるだろう。

空になった皿を持ち、厨房に戻ると。

他の受験者達が、一斉に彼女のもとへ集まる。

ハンゾーが作り方を喋ってしまったから、皆は殆ど同じような寿司を作っていたので

味や食感などで審査するしかないと言っていた。

ゴンを始めに審査が行われても、一つ一つに指摘があるから

誰一人合格できる者は居なかった。

メンチが湯呑に入ったお茶を優雅に飲む。

メンチ「わり、お腹いっぱいになっちった☆」

レオリオ「そ、それじゃあ審査は…？」

メンチ「いやだから、合格者はいないから皆不合格って訳。じゃ、またね〜！」

メンチが軽々しく答えたのだが、もちろん受験者達は納得がいかなかった。

これだけ、頑張っているのに折角走ってここまでたどり着けたのに、不合格になるには横暴すぎると

受験者達は蛇の様な鋭い目を試験管に向けた。

A「(本当に、これで終わりになるのかな。)」