【H×H】宝石の涙を流す (ページ30)

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金剛　1ー29 ページ30

A「(前は、水浸しになってて疑われそうになったけど、誘導技だったからバレなくてよかった…。)」

ビチビチと暴れる数匹の魚を取り逃さないように、持ち帰るA。

数歩歩いて無事に試験会場に戻って来れたが、他の受験者は未だに寿司に苦戦しているみたいだ。

メンチ「食えるかぁっ！！」

声のする方向に目を向けると、メンチが先頭に並んでいたレオリオの料理を放り投げた。

レオリオの作った『寿司』は、

大きい丸型の米に、数匹の生きた魚が刺さったような物体だった。

……彼女が、一口も食べずにひっくり返す理由はなんとなく分かる。

レオリオ「てめ…！何も放ることねえだろコラ！」

メンチ「なに？失格にするよ？？」

くそ…と悔しそうな表情を浮かべるレオリオ。

メンチ「いい？形は大事よ、握り寿司の形を成してないものは味見の対象にもならないよ！」

確かに彼女の言う通り、ネタとシャリの合わさった姿が綺麗にならなければ

作れたとしても頬張りたいと感じることはないと思う。

味だけとか見た目だけのように、一つの点に集中してしまうと全体が良くなるわけではないため

集中し過ぎることもリスクが高い。

ゴン「よーし、次は俺だ」

レオリオが作り直そうと、戻ると今度はゴンが完成したみたいだ。

だが彼の作る寿司は、拳一つほどの大きさの米に一匹の生きた魚を刺しただけだった。

そう見ると、レオリオの作ったものとはそんな大差ない。

A「(まあ、握り寿司で、魚と米を使うってなると、あんな考えをする人もいるかもしれないしね。)」

普通の人なら思わず笑ってしまったり、何だこれと驚く人が多いだろうが

Aは失敗した料理をあまり、口出ししなかった。

A「ゴン、残念だったね。」

ゴン「だね。レオリオと一緒かあ…。」

クラピカ「心中察するぞ、ゴン。」

レオリオ「んだと、コラ！」

A「(クラピカさん、ほんとレオリオさんのこと苦手なんだな…。)」

自分も制限時間以内に早く作ろうと、厨房に足を運ぶ。

衛生面の安全のため、調理器具や魚を水で洗っていると

A「あっ、キルアはどんな感じに作ったんだろ。」

列の先頭に並んでいたキルアに目を向けた。

彼は少し余裕の笑みをこぼすと、銀製のクローシュを手に持つ。

中身の料理は、えげつないものではなく

とある高級料理店にあっても可笑しくないような料理だった。