【H×H】宝石の涙を流す (ページ3)

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金剛　1－2 ページ3

開始時間まで時間が有り余っていたので、壁にもたれて待っているとAを呼ぶ声がした。

「おーい、お嬢ちゃん新顔だな。」

声のする方に顔を向くと、青い服を着た中年の男がいた。

女、この周りにはA以外の女性はいない、『お嬢ちゃん』とはきっとAのことだ

A「私ですか？」

「そう、君君！」

初対面でどのように接すれば良いのかもわからない。

A「私のこと知ってるんですか？」

「まあね、なにしろ俺３５回もテスト受けてるから。まぁ試験のベテランって訳だよ。分からない所があったら何でも聞いてくれ。」

A「ありがとうございます。」

男は優しそうな顔で言っているが、Aは彼の言動に違和感を感じた。

３５回…、ということは３５回やっても合格していないということだ。

それなのに、何故ベテランだと主張できるのだろうか。

A「今年から試験を受ける、A＝アクアマリンです。」

トンパ「よろしく、俺はトンパって言うんだ。ああ、そうだ喉乾いてるだろ？良かったらこれやるよ」

トンパは、鞄からオレンジ色の缶ジュースを取り出すと、Aに手渡してきた。

見た目は何も違和感のない、缶ジュース。

先程から彼からの視線を感じるため、一度缶の蓋を開けようとする。

すると、手よりも鼻の感覚神経が、Aの脳内にサイレンを鳴らした。

彼の周りから、誰も気づかないほどに微量な薬品の匂いがしたからだ

『飲んではならない』と信号が表示されているかのように。

A「……ごめんなさい、私いらないです。」

缶をトンパに差し出すと、彼は戸惑う。

……Aからしたら、魂胆が見え見えだった。

トンパ「えっ…、何でだい？飲まないと後で乾いて困るぞ？」

A「…なんか、薬品のようなものを感じて。」

トンパ「っ…！いやいや、薬品なんて、そんな物騒なもの入ってる訳ないだろ〜。」

A「…私『薬品が入ってる』って言ってないですよ？」

トンパ「(なっ…、しまった…！！)」

まんまと、騙されやすい言動にかかったトンパ。

魂胆がバレるのではないかと、顔を青ざめる。

A「私、昔から鼻がよく効くので、おじさんの周りに薬品のような匂いがしたんです。」

Aが嗅覚について話すと、トンパは関わっては駄目だと焦り

そのまま、彼女のもとから去っていった。

A「あ、このジュースどうしよ。」