【H×H】宝石の涙を流す (ページ12)

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金剛　1ー11 ページ12

Aには、聞き覚えのある声が見ているものと同時に脳内に巡る。

『【師匠】！嫌だ…、嫌だっ！死なないで下さい！！』

『……ごめんねA……。でも、貴方が無事で…良かったわ…。』

女の子は目に貯めていた涙、いや

【宝石】をポロポロと流しながら、血塗れになった銀髪の女性を揺さぶる。

彼女の言動からすると、銀髪の女性とは師弟関係であることが分かる。

必死に生き返らせようとしていると

女性を血塗れになるまで刺した男が狂った言葉を吐く。

『痛ぇよな？【シルキー】。でもよ、これはお前が悪いんだぜ？』

男は、ニヤリと笑いながら口走っていた

女の子は男の言葉が理解出来なかった。

【師匠】を刺したのに、どうして笑っていられるんだ。

どうして、苦しそうに笑っているんだ。

『【シルキー】のことは…、俺が一番愛していて、誰よりも好意を寄せていたというのに、お前は男ではなく、そんな両親に捨てられた子供を選んだ…。

……ふざけんなよ！この女狐！黒魔女！嘘つき女！

俺含め、皆には【愛してる】って言いながら笑顔を向けてた癖に、愛の対象はこんな子供かよ！！そんな俺達を騙す奴なんざ、人を助ける白魔女じゃねえ、呪いや災厄を落とす黒魔女の行為にしか過ぎねえんだよ！！』

包丁を握り、訳の分からないことを連呼しつづける男に

女の子の正体

Aは、とてつもない

怒りと憎悪、殺意が蘇った。

嘘つき？、女狐？、黒魔女だと…？

ふざけるな、【師匠】は魔女だけど、人を誰よりも愛していた方だ。

なのに、呪い…災厄を落とす？

Aは魔力の入ったナイフを男に向けた。

これだけの屑っぷりには、良心が痛まないので丁度いい。

もういい、これで…、これで貴様を…………！！！

　.

ゴン「Aっ！！」

A「っ…！え？」

今から男を刺そうと思っていた矢先

横からゴンがAを大声で呼ぶ声がしたのだ。

ゴン「大丈夫！？それに何でナイフ持ってるの？危ないよ！」

A「だ、だって！彼処にっ…！…あれ？」

もう一度、前に振り向いたのだが

目の前には『何も無かった』。

血塗れになった師匠もいない

殺したいぐらいに、憎んでいた男もいない。

A「(さっきのは、一体…。)」

ゴン「俺は何とも無かったしAは無事だけど、クラピカがまだ意識が戻らない。俺が担ぐから一緒に歩いて捜そう！」

A「…うん、そうだね。」