〜ヒノヒカリ〜純白の歌姫 (ページ9)

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電話している彼女の顔は浮かばない。

でも、それは歌姫としての活動が出来ないからという様な目ではなかった。

日依「うん…、うん…了解です。お父さんにも伝えてください。」

用事を済ませたのか電話を切り、宿舎に戻ろうとすると、

日依は剣城と目が合ってしまう。

日依「あっ…!えっと…剣城くん…?」

剣城「天馬達が心配している。誰かと電話でもしていたのか?」

日依「あ、うん。私イナズマジャパンに選ばれたから、予定していた配信とかイベントとかの期日を延期してほしいって、マネージャーさんに電話して…」

「悲しいけど頑張らないとね」と申し訳なさそうに笑う、日依。

だが、その笑顔は本当に笑っているのだろうか。

剣城「……何か抱えているのか?」

日依「えっ?」

剣城「朝比奈は笑っているつもりかもしれないが、俺には本当に笑っている様な気がしない。何か悩んでいるのか?」

剣城は人の動きを見て察知するからか、日依の行動や表情に違和感を感じていた。

サッカー未経験だったとしても、何故現実では自ら人と関わろうとしないのだろうか。

まさか、人間関係に支障でも起きたのか?

日依「いや…、その…。」

剣城「…言えないなら言わなくて良い。宿舎に戻るぞ。」

本人に気を遣っているのか、剣城は日依について来いとでも言うように

日依を連れて、宿舎に戻った。

翌日、朝練やコーチからの情報のため皆はグラウンドに集まっていた。

船木コーチは対戦国の情報を発する。

船木「アジア予選第１戦は、韓国のファイアードラゴンが相手だ。情報によれば、チームの要はFWのリ・チュンユン。とてつもない俊足の持ち主でボールが渡ったら最後、一気にゴールまで運ばれてしまう。

如何にチュンユンにボールを渡さないようにするか…ディフェンス、オフェンスそれぞれに練習メニューを与える。いいな」

「「はい！」」

練習に出たのは良いものの、サッカーが出来ている者と出来ていないものの比率がある。

日依は少々の好奇心もあって、一度ボールを蹴る。

軽く跳び、真空状態のボールを蹴ると

鉄角「うおっ!?危ねえ!」

向かいから離れていた鉄角の顔に擦れそうなほどの速さで、サッカーゴールにまで突き刺さる。

日依「…………え?」

これは本人でも、予想外だった。

軽く蹴っただけなのにと思っていると、天馬が目を輝かせる。