〜ヒノヒカリ〜純白の歌姫 (ページ11)

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だが、天馬がその場を離れると

ヒソヒソ声で、兄の瞬木に呟いた。

雄太「兄ちゃん兄ちゃん。」

瞬木「ん？なんだ？」

雄太「兄ちゃん以外、大したことないやつばっかだよね」

瞬木「バカッ、そんなこと言うな！誰かに聞かれたらまずいだろ。大人には、上辺だけの関係が大事なんだ。わかってるな？」

雄太、瞬「「うん！わかってるって！」」

彼らの思っていることは本当に子供なのだろうか。

考え方が、子供のような純粋ではないような気がする。

瞬「あのさ、兄ちゃん！俺日依ちゃんのサイン欲しい！学校で自慢とかしたいんだ！」

雄太「俺も、俺も！」

瞬は向こう側でシュート練をしている日依に指を差した。

そして、二人はわざわざ二枚の色紙を用意している。

こんな小さい子供でも、日依のファンだということは

日依はそれほど、幼い子や若者、誰もから愛されていることが分かる。

瞬木「あー分かった、じゃあ俺の方から伝えとくよ。」

瞬木は早足で日依に駆け寄る。

瞬木「あのさ、朝比奈さん。」

日依「…？」

声をかけられた為、練習を中断する。

瞬木「実は俺の弟達が朝比奈さんのファンみたいでさ、良かったら弟達にサイン貰ってくれないかな？」

サインを貰えないかと言われると、日依は少し考えていた。

考え終わると、一度サッカーボールを地面に置く。

日依「…ちょっと待ってて。」

日依はベンチからメモ用として用意していたペンケースから小型の油性マーカーを取り出す。

マーカーを取り出すと、今度は弟達二人に駆け寄った。

日依「えっと…、雄太くんと瞬くん？」

途中で名前が聞こえただけで合っているかどうかうろ覚えだったが

雄太「うん、合ってるよ！」

名前が一致したため、日依は用意されていた色紙にスラスラとペンを動かした。

小型な為、文字が細くなっている。

日依「ごめんね、こんな細くしか書けないから。」

瞬「ううん、ありがとう！」

日依自身も、相手が誰だろうと

ファンが居てくれることに、嬉しそうに笑っていた。

瞬木「(人見知りだけど、ファンのことは大事にしてるんだな)」

瞬木は意外な人物だとでも言うように、日依をじっと見つめていた