花魁 2ー23 過去8 ページ26
月夜「(髪留め…？)」
派手な装飾が無く、金色の光沢を持った前髪を留める髪留めだった。
その髪留めは、丸いものだけでなく三日月のような形をしたものと一緒にあった。
その様子はまるで
上弦の月、満月、下弦の月を表すような髪留め。
一瞬だけ髪留めを月夜に見せると、桜城は彼女の前髪を横に軽くずらした。
ずらした所に髪を押さえて、パチンッ…と月の髪留めで留める。
桜城「…似合ってるな。長い黒髪には金が映える」
こんなもの、貢物なら沢山の男に貰っても心から嬉しいと思わなかったのに
何故か、小さい髪留め一つで嬉しいと思ってしまった。
これは……桜城様に対してどんな感情を今向けているんだ？
桜城「その髪留めは形と配色以外地味だからあまり女性人気がなかったが、なぜだか月夜に似合いそうだと思ってな。月夜はいつも派手な色打掛を着ているが、派手なものを好んでいる姿は見たこと無いし」
確かに、ウチは皆から美しいと言われても自分は思わなかった。
子供の時、貧困な家庭環境で暮らしていたから派手なものは少し苦手傾向があった。
あまりチャラチャラするのは、自分にも性に合わないと思ってたし。
それを桜城様は察してたのだろう。
桜城「会うのは今日で最後…永遠に別れてしまうのなら、疑似夫婦として、義理の旦那としてお前にこれを渡したかったんだ。」
疑似夫婦…世間体ではそう言われても仕方ないな。
そう思ってたのに、桜城様は健気にウチを愛してた。
それは、奥さんに似てるからではなくて
こうして関わっていくうちに、貴方は本気でウチに恋してしまった。
片思いの夜だから、両思いなんて直ぐに簡単になれないけど
桜城「…最後の願いだ。月夜、もし私がいなくても、お前よりも先に死んでも自分自身を貫き通せ。そして…我儘だがこの髪留めで私を忘れないでくれ。」
2つの願いを伝えた彼は、今にでも泣きそうな悲しい表情。
でも、そこには月夜という一人の花魁を一人の女性として向けた感情のようにも読み取られる。
ウチが大人になって花魁になったのは、運命ではない。
必然だったのかもしれない。
勿論、返す言葉なんて思いついてる。
.
.
.
月夜「………ええ、勿論です。『旦那様』」
昔のことを話し終えてしまうと、いつの間にか月は見えなくなるまで時間が経過していた。
まだ、ケータには早かったかな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 14人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
月見だんご(プロフ) - 構いません!宜しくお願いします🙂 (2月14日 14時) (
レス) @page24 id: f6787a6d04 (このIDを非表示/違反報告)
日依(プロフ) - 月見だんごさん、ありがとうございます。このシリーズは固定設定なのですがそれでも大丈夫でしょうか？この主人公である月夜は好みが別れるかもしれませんが··· (2月12日 23時) (レス) id: 08b2d47db3 (このIDを非表示/違反報告)
月見だんご - オチがオロチで嬉しい😄自分もオロチが推しなのでこういう作品が見れるのは嬉しいです。もっとオロチとの絡みも見てみたいです。更新楽しみに待ってます😆 (2月12日 23時) (レス) id: 3095a46f05 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：日依 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=sorairokopikku2
作成日時：2023年2月8日 9時
