【CR】短編集 (ページ2)

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楽しそうに、愛おしそうに、眩しいほど、笑っている本人が何を言ってるのか。

起こして、と差し伸べてきた右手を取りながら、かじかむ手で素早く携帯をAに向ければ、Aはわあわあと左手で顔を隠そうとするけれど、それよりも一瞬、カシャリ、と短いシャッター音が鳴る方が早かった。

「ちょっと！Selly！何撮ってるの！消しなさい！」
「俺、なにもしてない」
「嘘つき！じゃあ、携帯見せて！」
「いやぁ……人の携帯、見るの、マナー悪いことだけど？」
「じゃあ、人の顔を勝手に取るのはマナー違反じゃないって言うのっ？」
「んー、俺、日本語わからないよ」
「今喋ってんじゃん！！」

立ち上がって雪まみれのAが、必死に俺の携帯を取ろうと伸ばして来た手を掴んで引き寄せる。
引き寄せた勢いで、睫毛にまで積もった雪がぱらりと舞って、綺麗だなあ、とぼんやり思いながら触れた唇は、やっぱり、ばかみたいに冷たかった。

歌って【Selly】→←雪の日は【Selly】