好きな女の子を守りたいのが男心 ページ42
夢主side
背後を振り返ると、呪霊がガードレールをぶち破って谷底を下りていくところだった。
奴の手には、腹から血を出した國光先生がいる。が、呪霊は國光先生を絡め取ったまま、側壁を這うように谷底へと下りていってしまった。
「幸希…!國光先生が連れて行かれた!!」
「知ってるよ!!でも今はっ、こっちの人達を助けねぇと…!!」
「私、加勢してくる!」
道路の反対側まで走って、ガードレールから身を乗り出す。眼下に広がるのは谷底の木々。
ちと高いが、もたもたしていられない。
私はガードレールに足をかけて、
「えっ、藪木先輩…!?」
「奏!!私達も行った方がいい!?」
「んー、取り敢えず自由参加!!!」
小鳥の声にそう答えて、一気に谷底へと飛び降りた。
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夏油side
「取り敢えず自由参加!!!」
そう言って、少しも躊躇わずに谷底へと飛び降りていった藪木先輩。
あんなに軽々と飛び込むなんて、正気の沙汰じゃない。
谷底を覗き込むと、呪霊も、藪木先輩も木々に隠れて見えなくなっていた。
「奏っ…」
同じくガードレールから身を乗り出して谷底を覗き込む倉崎先輩。自分も飛び込むべきか否か、考えあぐねている様子だ。
だが、恐らくあの呪霊はただの呪霊じゃない。
「……」
「自由参加って言ったって…、」
「倉崎先輩が行っても足手纏いになるだけなので、あなたは補助監督の手伝いをするべきだと思いますよ。」
「そんな言い方っ…、あんたね、いくら私のことが嫌いだからって、」
どこからそんな勘違いが生まれたのか知らないが、倉崎先輩がやけになって谷底に飛び込まないよう、二の腕を掴む。無いとは限らない。同級生にあの藪木先輩がいるのだから。
あの呪霊には、何かある。
そんな呪霊に、わざわざ好きな人を放り出すようなことはしない。
目の前に安全な選択肢もあるのだから。
「倉崎先輩は絶対に来ないでください。いや、他の誰にも、来るなと言っておいて。ここで大人しく補助監督の手伝いをしていてください。」
「夏油は?」
「私は藪木先輩を追いかけます。國光先生と藪木先輩だけじゃ少しキツいでしょう。」
倉崎先輩が泣きそうな顔をするので、安心させるように微笑む。
「大丈夫です。3人で無事に戻ってくるので。約束します。」
そう言って、先程の藪木先輩と同じく谷底に飛び降りた。
すると、紙で出来た無数の鳥が着いてくる。かと思えば、身体を支えてくれた。
これは倉崎先輩の術式だ。
無事に帰ってこいという、彼女からの激励だろうか。
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ただの本名;只野です。(プロフ) - 面白すぎて鼻水吹いた。気長に更新待ってます。1年でも10年でも100年でも。あっ1000年ぐらいはオッケーです。 (7月31日 11時) (レス) @page42 id: e7ab028975 (このIDを非表示/違反報告)
佐久間くんが好きなピカソ - えっなんかもう控えめに言って天才??ここまで一気読みしちゃいました、、、!!更新頑張ってください土下座待機してます!! (2023年1月28日 22時) (レス) @page42 id: 8a09725b52 (このIDを非表示/違反報告)
くさ - めっちゃ面白いですね!!!!これからも更新頑張ってください! (2023年1月3日 11時) (レス) @page35 id: 56aae56e91 (このIDを非表示/違反報告)
瞳子 - すみません!!!!誤字ってました(;´_ゝ`) (2023年1月1日 20時) (レス) @page35 id: c668961e12 (このIDを非表示/違反報告)
瞳子 - 物凄く面白かったです!色々なキャラクターが出てきて面白すぎてあっという間に読み終えてしまいました!これからも応援してますとぷり( ≧∀≦)ノ (2023年1月1日 20時) (レス) @page35 id: c668961e12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:EL | 作成日時:2022年8月14日 14時